新型コロナウイルス感染のルーマニアにおける現状等について(検疫と隔離について)(号外)

(今回は,新型コロナウイルスに関する現行の検疫と隔離の措置等に限定して,お伝えします。)

新型コロナウイルスに対する,ルーマニア政府の検疫と隔離の措置について,法的枠組みが整ってきたことから,具体的に何が起きるのかを御案内します。

検疫と隔離について法的根拠が新たに整えられました。同時に,このために新たに成立,発効した法律(法律第136号)は,人権等との適切な均衡を確保すること等も重視して,規定や措置の内容や規定ぶりが複雑なものになっています。

実際に何が起きるのかの概要を,以下に御案内します。また,関連で,PCR検査を受けるための代表的な手順を御案内します。

ご不明な点などあれば,当大使館(連絡先末尾)に御照会下さい。

1.検疫と隔離の意味

「検疫」は感染が疑われる者を物理的に隔てること,「隔離」はPCR検査で陽性である者等を治癒と感染水準低下を目的として物理的に隔てることを,言います。(法律第136号第3条)

2.検疫

検疫の対象は,

(1)疫学的リスクが高い地域から入国する人,

(2)感染が確認されている人と接触した人

のいずれかとされています。

上記(1)の「疫学的リスクが高い国」とは,直近の14日間の人口10万人当たり新規感染者数(以下,「新規感染者数」)がルーマニアより多い(国家緊急事態委員会決定第34号第2条(2),)とされています。

保健省国立公衆衛生研究所のウェブサイト参照(http://cnscbt.ro/index.php/liste-zone-afectate-covid-19/1890-lista-state-cu-risc-epidemiologic-ridicat-25-07-2020/file

なお,7月27日現在,EU内でルーマニアより「新規感染者数」が多い国はルクセンブルグだけで,在留邦人等がこれ(上記(1))に該当する可能性は低いかもしれません。

他方で,ルーマニア国内では,例えばブカレストでの感染者は累積で5000人以上となっており,また各地で地域的な検疫隔離の対象となる地点も増えており,(2)の「感染者と接触する機会」は増しつつあると言えます。

感染者が確認され,公衆衛生局によって感染者との接触者と認定されると,自宅又は自ら指定する場所で,検疫措置に置かれることになります。

また,自宅(家族・同居人がある方は,家族・同居人も一緒に検疫に置かれます(保健大臣令第414号第1条(2)))又は自ら指定する場所での検疫措置を拒否する場合や(家族への感染の危険を防ぐことを意図するような場合も含む。),自宅又は指定する場所での検疫措置を遵守しなかった場合には,当局が指定する施設での検疫措置に置かれます(法律第136号第5条(3),保健大臣令第1309号第2条(3))。

 施設での検疫についての決定は公衆衛生局の代表が行いますが,この決定書が発出されるまでの間,医師や公衆衛生局代表の同意なしに自宅等の検疫の場所から離れることは,禁止されています。

検疫の期間について,法律(法律第136号)では具体的な定めがありませんが,保健大臣令第414号によれば14日間となっています。また,施設検疫の「決定」通知には期間が明記されることになっているので,その期間を確認することが必要です。

検疫中に症状が現れた場合には,家庭医又は112番に電話して下さい。PCR検査を受けて,以下3の隔離に移行,病院に搬送されることになります(保健大臣令第414号(1))。

 他方,無症状で14日間経過した場合には,検疫は,特段の手続きなく解除となります。また,ブカレスト市又は県の公衆衛生局から検疫終了を証明する「疫学的証明書」を取得することが可能です。

3.隔離

隔離は,PCR検査が陽性又は新型コロナウイルスの症状がある者に対する措置です。

まず,検査の実施とその確認のために,本人の同意の下で,

(1)保健相が指定する衛生施設

(2)その他の公私立病院の隔離病棟

(3)その他の代替施設

(4)自宅

のいずれかにおいて,48時間待機することになります。

48時間以内に感染を他者に伝播させる危険性が確認された場合には,医師が隔離延長勧告を出すことになります(法律第136条第8条,保健大臣令第1309号第4条(3))。また,48時間後にその他の状態である場合にも,同様に医師の指示に従うことになります。

隔離措置(隔離の延長)に置かれる場合には,治療を受け,その後,隔離の終了は,医師が,問診や検査の結果,治癒を確定することによって,行われます(法律第136条第8条(8),保健大臣令1309号第4条(8)(10))。

4.なお,自ら疑わしく思う症状があって,PCR検査を受けようと思われる場合には,ブカレストでは,私立のサナドール病院(電話021-9699),レジナマリア病院(電話021-9268)等に予約をして,300レイ前後で比較的簡単に検査を受けることができます。また,ルーマニア全国のPCR検査実施機関は,以下をご参照ください。

http://www.ms.ro/centre-testare/,文末の“Lista Laboratoare”をクリックしてください)

陽性の場合には,公衆衛生局に自動的に通報され,その後対応が指示されルことになっていますが,連絡が無い場合には,公衆衛生局(ブカレストの場合には代表電話番号:021 252 79 78。メールアドレス:dspb@dspb.ro)に直接連絡するか,112に電話して下さい。

また,万一,感染が確認された場合には,当大使館にもお知らせいただけますよう,お願いします。

5.異議の申立て

検疫・隔離の措置によって自己の正当な権利が侵害されたと考える場合には,管轄の裁判所に異議を申し立てることができます(法律第136号第15条,第16条)。

【問い合わせ先】

ルーマニア日本国大使館領事部

電話:+40-21-319-1890(大使館が閉館している時間は,業務委託先へ転送されます)

メール:consular@bu.mofa.go.jp

領事メールの受信希望の方は,以下のリンク先から手続きをお願いします。

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