【ポイント】
●6月から9月までは雨季となり蚊が増加するため,マラリアに感染するリスクが特に高くなります。
●潜伏期間は1−3週間です。高熱がでたら第一にマラリアを疑って病院で血液検査を行って下さい。
●症状が出てから無治療で5日間以上が経過すると死亡率が非常に高くなります。
●蚊に刺されないための予防対策を行って下さい。
●帰国し日本で発熱した場合は感染症専門医のいる病院,もしくは熱帯医学に熟知した病院を受診して下さい。
【本文】
在留邦人及び旅行者の皆様へ
在留邦人の皆様には,日頃より当館の業務につきご理解,ご協力を頂きありがとうございます。
雨季の始まりと同時に蚊が増加し,マラリアの流行が始まります。そのためマラリアを媒介する蚊に対する対策がより一層求められる季節(6月から9月)になります。ついては,西アフリカへの渡航を予定している方及びすでに滞在中の方は,最新の情報を入手してください。また,感染予防については以下をご参考にして下さい。
1 世界各地には,5種類のマラリアが存在しますが,西アフリカで流行するのは主に熱帯熱マラリアとなります。マラリアを媒介する蚊はハマダラ蚊で,蚊の体内で増殖したマラリア原虫は吸血のさいにヒトに入り込み,肝臓で増殖した後に赤血球に次々と感染してゆきます。赤血球に感染したマラリアはさらに増殖を繰り返し,赤血球を破壊してゆきます。それに伴い高熱や貧血が生じ,マラリアが感染した赤血球は腎臓や脳の血管に詰まり,腎不全や脳マラリアに至ります。
(1)マラリアの潜伏期間は,蚊に刺されてから約1〜3週間。
(2)症状として,高熱,悪寒,頭痛,筋肉痛,嘔気がみられる。
2 ハマダラ蚊は下水や泥水よりも水田,湿地帯,小川の水辺などの澄んだ水での繁殖を好みます。このことは大都市よりも貧困層の多い低地エリアや農村部にマラリア患者が多い理由の一つになります。卵から10日程度で成虫(蚊)になり,主に夜間,夕方17時から朝7時頃にかけてヒトを吸血します。熱帯熱マラリアが流行するためには限られた地域に一定数のマラリア患者とハマダラ蚊が常に存在していることが必要ですが,ハマダラ蚊は2km飛翔するため発生源を特定することが困難なこともあります。また,流行地から車や荷物に入り込んで非流行地域で患者を発生させることもあります。ハマダラ蚊の寿命は約2〜4週間です。
3 マラリアの症状を感じたら直ぐに病院で受診し,顕微鏡で血液中のマラリアの確認をしてもらって下さい。Blood smear examinationと言えば理解してくれます。また,病院では迅速検査キット(RTD)で感染確認を行うケースもありますが,RTDが陰性であっても診断が確実な顕微鏡検査も行うように医師に依頼して下さい。途上国では安全上,深夜帯の移動が困難なこともあり,時間帯によっては朝の受診を考慮して下さい。また,過去に多い事例としては日本に帰国,もしくは他国に旅行中に発症し,非流行地域の医師がマラリアの感染を疑わなかったため重症化した例が多くあります。日本で発熱した場合は感染症専門医のいる大学病院や国際医療センターなど熱帯医学に熟知した病院を受診し,西アフリカに滞在したことを伝えて下さ
い。
4 発症してから5日間治療が遅れると急激に死亡率が高くなります。できるだけ早期の治療が必要です。治療薬は主にアルテミシニン製剤(商品名:Coartem(コアテム),Riamet(リアメット))です。病院で診断を受けた場合,点滴から投与することもあります。また,治療に難渋する場合はQuinine(キニーネ)も使用することがあります。
5 マラリアに罹らないための予防について
(1)夜間外出時の蚊よけクリームの塗布(DEET 30%,もしくはイカリジン15%)
(2)夜間外出時は肌の露出のない長袖・長ズボン・靴下を着用する。
(3)蚊帳の設置
(4)蚊取り線香
(5)網戸の設置,もしくはエアコンを利用して戸は開けない。
(6)メフロキンやアトバコン(マラロン)などの予防薬の内服(特にアクラ郊外や地方訪問時)。当地の薬局でも購入は可能ですが在庫があるとは限らないので,日本国内のトラベルクリニックなどで処方してもらうことを推奨します。
※家屋全体に対するくん煙殺虫剤は危険な化学物質を含むことがあるため当国では推奨しません。
○参考情報:
厚生労働省検疫所(FORTH)「感染症についての情報 マラリア」
http://www.forth.go.jp/useful/malaria.html
http://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/519-malaria.html
(問い合わせ先)
○外務省領事局政策課(医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/(PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(携帯版)
以上
令和元年6月7日
在ガーナ日本国大使館 領事班
Dr. Hideyo Noguchi Street,West Cantonments,Accra
P.O.Box GP1637
Phone: 030-2765060 Fax: 030-2762553
開館時(緊急時のみ) Phone: 024-242-6105