医療情報(パキスタンで知っておくと得する医療知識と対応策(処方薬編)) 

【ポイント】

今回は長期滞在者の知恵袋(処方薬編)として、日本の「処方薬」に相当する当地の内服薬&外用薬〔商品名(一般名)〕を以下の項目に分けてご案内しております。

 

【本文】

日本の「処方薬」に相当する当地の内服薬&外用薬〔商品名(一般名)〕

・日本では、医師の処方箋がないと購入できない薬を「処方薬」と呼ぶ。

・長期滞在者が「処方薬」を初めて購入する際は、親戚や知り合いの医療関係者へ相談の上購入しているが、初回以降は自己判断で購入している傾向があり、注意を要する。

・日本の処方薬は、海外と比較して少なめに処方されているため、当地薬は日本人にとって高容量となることが多く、服薬する際は副作用に注意を要する。

・以下、長期滞在者が使用したことのある「処方薬」を挙げる。

・「処方薬」は医師の処方箋を持って購入することとし、ここでは注意すべき用法・用量や副作用について記載する。

<鎮痛剤>

○Loxonin(loxoprofen sodium):市販薬の痛み止めが効かない頭痛、咽頭痛、生理痛、腰痛などに

副作用:長期服薬(1週間以上)で腎機能・消化管障害(薬剤性胃潰瘍など)を来す。妊娠後期は禁忌。喘息誘発のリスクあり。

○Voltral(diclofenac sodium):Loxoninでも効かない腰痛や尿管結石による疼痛などに

副作用:長期服薬(1週間以上)で腎機能・消化管障害(薬剤性胃潰瘍など)を来す。妊娠後期は禁忌。喘息誘発のリスクあり。

<呼吸器疾患、アレルギー疾患(鼻炎や皮疹など)>

○Carbex(carbocisteine):シロップタイプの去痰剤、鼻水止め

用法・用量:日本人には1回10ml、毎食後が適量。

○Carbex Plus(carbocisteine&promethazine HCl):シロップタイプの去痰剤、鼻水止め、抗アレルギー薬が混合

用法・用量:日本人には1回10ml、毎食後が適量。

副作用:眠気を伴う可能性あり。

Rhino Sone(Naphazoline Nitrate&Ephedrine Hydrocholoride)、Rhino Sone-P (上記+predonisolone):アレルギー性鼻炎に対するスプレータイプの鼻水止め

副作用:眠気を伴う可能性あり。

○Rigix(cetirizine hydrochloride):抗アレルギー薬

用法・用量:小児用シロップもあり。腎臓が悪い人は減量が必要。

副作用:眠気を伴う可能性あり。

○Soften(loratadine):抗アレルギー薬

副作用:眠気を伴う可能性あり。

○Zyrtec(cetirizine hydrochloride):抗アレルギー薬

用法・用量:小児用シロップもあり。腎臓が悪い人は減量が必要。

副作用:眠気を伴う可能性あり。

<消化器疾患>

○Buscopan(scopolamine butylbromide):腹痛や月経痛に対する痛み止め

副作用:口渇、前立腺肥大症の悪化(排尿障害)、緑内障の悪化など。

○Imodium(loperamide hydrochloride):下痢止め

用法・用量:そもそも下痢は、病原体を体外に出すための防御反応である。従って、下痢を止めると言うことは、病原体を体内に止めることになるため、原則内服しないことをお勧めする。経口補水液等で脱水予防をし、お腹が空っぽになるまで病原体を出し切ること。

<抗菌薬(点耳薬も含む)、抗寄生虫薬>

○Amoxill(amoxicillin):抗菌薬

副作用:薬剤アレルギー(この場合は内服中止)、味覚異常、食欲不振、下痢など。

○Augmentin:抗菌薬

副作用:薬剤アレルギー(この場合は内服中止)、吐き気、嘔吐、下痢など。

○Entamizole(metronidazole&Diloxanide):抗菌薬又は抗寄生虫薬、日本では同等薬剤なし

副作用:アルコールとの相性が悪く、吐き気・嘔吐をもよおす。内服中及び内服終了後2日間は飲酒を控えること。妊娠初期(12週まで)は禁忌。

○Flagyl(metronidazole):抗菌薬又は抗寄生虫

副作用:アルコールとの相性が悪く、吐き気・嘔吐をもよおす。内服中及び内服終了後2日間は飲酒を控えること。妊娠初期(12週まで)は禁忌。

○Klaricid(clarithromycin):抗菌薬

副作用:上腹部不快感、下痢など。

○Lidosporin(polymyxinB):点耳薬、日本には同等薬剤なし

副作用:特になし

○Otosporin(polymyxinB&neomycin&hydrocortisone):点耳薬、日本には同等薬剤なし

副作用:特になし

○Tindamax(tinidazole):抗寄生虫

副作用:アルコールとの相性が悪く、吐き気・嘔吐をもよおす。内服中及び内服終了後2日間は飲酒を控えること。妊娠初期(12週まで)は禁忌。

○Zentel(albendazole):子供用虫下しシロップ

用法・用量:食後に服用すると吸収がよい。

副作用:吐き気、腹痛、頭痛など。

<外用薬(皮膚科疾患に対して処方)>

○Betnovate-N Cream(neomycin&betamethasone):抗菌薬入りステロイド外用剤

用法・用量:やや強めのステロイド外用剤。子供や顔の皮膚は成人や手足の皮膚と比べると吸収量が多くなるため、塗りすぎに注意。

副作用:長期使用(2週間以上)で皮膚萎縮や毛細血管拡張など。

○Calamine (zinc oxide & ferric oxide):市販のかゆみ止めとしても使用可

副作用:肌への刺激感など。

○Dermovate Cream(clobetasol propionate):ステロイド外用剤

用法・用量:最強のステロイド外用剤。

副作用:小児及び妊婦への使用は控える。

○Kanadex-n(neomycin&dexamethasone):抗菌薬入りステロイド外用剤

用法・用量:やや強めのステロイド外用剤。子供や顔の皮膚は成人や手足の皮膚と比べると吸収量が多くなるため、塗りすぎに注意。

副作用:長期使用(2週間以上)で皮膚萎縮や毛細血管拡張など。

○Kenacomb(neomycin sulfate&nystatin&triamcinolone acetonide):抗菌薬&抗真菌薬入りステロイド外用剤、日本には同等薬剤なし

用法・用量:ステロイド外用剤としてはマイルド。

○Lamisil(terbinafine hydrochloride):抗真菌薬、水虫などに

副作用:患部の発赤、刺激感など(この場合は内服薬への変更も考慮)。

○Nerisone forte fatty ointment(diflucortolone): ステロイド外用剤

用法・用量:最強のステロイド外用剤。

副作用:小児及び妊婦への使用は控える。

○Polyfax(polymyxinB&bacitracin):外用抗菌剤

○Polyfax Plus(上記+lignocaine):鎮痛薬入り外用抗菌剤、日本には同等薬剤なし

副作用:特になし

<貧血>

○Hemocare(ferrous, folic acid, vitamin B12, zinc):主に月経や妊娠に伴う貧血に

副作用:吐き気をもよおすことがあるため、夕食後又は就寝前に内服する。鉄剤の影響で便が黒くなるので驚かないように。

<子供の乗り物酔い&吐き気止め>

○Gravinate Liquid(dimenhydrinate):乗り物酔い止めとして、早めの内服も可

副作用:眠気を伴う可能性あり。