台湾安全情報(2023年第1四半期)

台湾当局の統計データ(2023年4月20日現在、暫定値)及び2023年1月以降に発生した事件・事故で当協会が把握しているものを基に作成した、台湾の安全情報を以下のとおりお知らせいたします。

1 社会・治安情勢

 日本台湾交流協会台北事務所周辺において、我が国との歴史等に関連し、一部の団体等による抗議活動が散発的に行われていますが、一般市民全般の対日感情は良好であると言えます。また、台湾の治安情勢は、引き続き比較的安定していると言えます。

2 犯罪の傾向

(1)主な犯罪の発生件数

内政部警政署の発表によると、2023年1月から3月までの刑法犯の発生件数は5万7,592件であり、前年同期と比較して4.4%増加しています。

台湾は安全だと考えがちですが、実際には依然として多くの犯罪が日々発生しており、特に強盗、窃盗及び詐欺の被害が大きく増加傾向にある状況等も見られますので、引き続き油断することなく、台湾が海外であることを忘れずに防犯意識を高めるよう心掛けてください。

また、主な犯罪の発生件数は以下のとおりですので、被害防止の参考としてください。

   刑法犯総数   5万7,592件(前年同期比 4.4%増)

うち殺人        28件(同 上  28.2%減)

    うち強盗        42件(同 上  31.3%増)

    うち強制性交      11件(同 上  35.3%減)

    うち窃盗     8,846件(同 上  15.6%増)

    うち詐欺     7,286件(同 上  23.1%増)

(2)邦人被害の事案

  ア 窃盗(スリ)

3月、台北市内において邦人のスリ被害がありました。過去には、外国人観光客をターゲットにする窃盗グループの存在が確認されています。過去の事例では、夜市等の人が多く集まる観光地やイベント会場において、食べ歩きや買い物をしているときなど、人混みの中で注意力が散漫になっている状況に乗じて財布や旅券が盗み取られた事例や、犯罪者が故意に被害者に接触し、被害者の手荷物への警戒心が薄れた状況を利用してスリが行われた事例等も確認されています。観光中や外出中でも常に油断することなく、手荷物は身体の前に抱えて持つなど貴重品の管理に留意してください。

また、過去には、台北市内の国立故宮博物院、忠烈祠、中正紀念堂龍山寺永康街台北101、世界貿易センター、西門町、士林夜市、饒河夜市及び寧夏夜市、新北市内の九フン、高雄市内の蓮池潭、六合夜市及び瑞豐夜市等の各種観光地を始め、各種飲食店、空港や駅等で窃盗の被害が確認されていますので、留意してください。

  イ 旅券(パスポート)の紛失

    1月から3月までに、旅券を紛失したとの届出が26件ありました。その多くは、外出時に、用務先又はタクシー内で紛失したとみられます。中にはいつどこで紛失したかわからない事例やスリ、置引き又は遺失物横領の可能性がある事例もあることから、海外生活における重要な身分証明書の役割を果たす旅券については、日頃から有効期間を確認するとともに、適切な管理に努めてください。

なお、日本台湾交流協会が把握している過去の旅券の紛失事例を見ると、以下のような特徴が挙げられます。

○ 九フンや夜市等の大勢の客で混み合う場所において旅券を紛失する。

○ 乗車したタクシーや公共交通機関に旅券が入ったバッグを置き忘れる。

○ 空港での両替時に本人確認のために旅券を提示し、そのまま置き忘れる。

○ 泥酔するまで酒を飲んだ後に路上で寝込み、旅券入りのバッグを紛失する。

○ ナイトクラブに入場する前に旅券を提示し、店内で酔っ払って紛失する。

○ 部屋の片付けや引っ越しの際に、旅券を誤って捨てたり、落としたりする。

    上記に見られるように、旅券の紛失は所持者本人の不注意によるものが大半を占めます。旅券を紛失した場合、台湾当局への届出に加え、どうしても急ぎの帰国の必要がある場合には、渡航書等の申請が必要となります。そのためには、戸籍謄本等の入手が必要となるなど、申請手続には多くの時間と労力を要します。また、日本の旅券は国際的な信用度が高く、紛失した旅券は偽変造され、不法な出入国等の犯罪や国際テロを助長するおそれがあります。上記の事例を参照しつつ、滞在中の旅券の管理に十分に留意するようにしてください。

  ウ 盗撮

    3月、台北市内の旅館の浴場において、邦人の盗撮被害がありました。共用施設の浴場やトイレを使用する際は撮影機器が設置されていないかに注意するとともに、盗撮の被害や不審な状況を確認した際には、すぐに従業員や警察に通報するようにしてください。

    

3 交通事故の傾向

(1)主な統計

内政部警政署の発表によると、2022年中の交通事故の発生件数は37万5,632件と、前年と比較して4.9%増加しており、台湾全域では1日約1,029件の交通事故が発生している計算となります。

また、死者数(3,085人)については、前年(2,962人)と比較して4.2%増加しており、台湾全域では1日約8人が交通事故で死亡している計算となります。

依然として毎日多くの交通事故が発生していることから、外出時には日本と台湾の交通事情や習慣の違いを常に意識するとともに、周囲の自動車やバイクの走行状況に十分に留意して、交通事故の被害に遭わないよう心掛けてください。

なお、交通事故に関する主な統計は、以下のとおりです。

発生件数 37万5,632件(前年同期比 4.9%増)

死 者 数    3,085人(同 上   4.2%増)

負傷者数 49万8,887人(同 上   4.7%増)

(2)邦人被害の事案

3月及び4月、いずれも台中市内において邦人が被害に遭う交通事故が3件ありました。事故の状況は、タクシー乗車中に他のタクシーに衝突されたもの、違法駐車を避けて車道を歩いていたところバイクに衝突されたもの及び横断歩道を横断中に左折してきた小型トラックと接触したものです。

台湾では、交通ルールやマナーが遵守されていない場面に遭遇することが多く、ドライバーの中には歩行者よりも車両を優先する傾向がある者もいます。日本と台湾の交通事情や習慣の違いを認識し、外出中は常に交通事故防止に十分な注意をしてください。

4 テロ・爆弾事件の発生状況

報告されていません。

5 邦人に関する誘拐・脅迫事件の発生状況

  報告されていません。

6 日本企業の安全に関する事案

報告されていません。

7 海外旅行保険への加入

  過去には、台湾を訪れた邦人(特に高齢者)が滞在中に体調を崩して病院に入院し、高額な医療費(例:手術を伴う1か月程度の入院で約500万円)を支払うことになった事案や、邦人が自身の体調不良に対し医療費がかさむことを心配して病院の受診をためらっていたところ、病状が悪化し、救急搬送されて入院したという事案(1か月余りの入院費・治療費は約350万円)等を把握しています。

また、2023年1月から、台湾の健康保険制度に加入していない非台湾籍者が台湾滞在中に新型コロナウイルスに感染した場合、隔離や治療費用は自己負担となることが発表されるとともに、台湾当局は外国籍者(旅行者、短期留学生等を含む)に対して、台湾入境前に保険に加入することを呼び掛けています。

このような場合、海外旅行保険に加入していれば、病気の際の医療費、移送費等が補償されるほか、保険会社や契約内容によっては、家族の渡航費や台湾において日本語通訳の手配サービスを受けることも可能となります。台湾を訪れる際には、予期せぬ犯罪被害、交通事故、突然の体調不良等に備え、可能な限り充実した海外旅行保険に加入するようにしてください。

8 台湾当局による新型コロナウイルス感染症への各種対策 

 現在、台湾入境者に対して義務付けられていた自主防疫は3月20日より廃止されています(ただし、COVID-19合併症(中等症)の条件を満たす場合は届け出・隔離を行い、治療を受ける必要があります。)。また、4月17日以降、一部の場所(医療機関や救急車等)を除き、マスクの着用義務が緩和されています。発熱等の症状がある場合や公共交通機関を利用する場合、ソーシャルディスタンスが保てない場所や風通しの悪い場所等ではマスクの着用が推奨されていますが、その他の屋内の場所では個人の判断に委ねられています。

こうした自主防疫期間中の主な防疫ルールを含め、新型コロナウイルス感染症に関する台湾当局の各種措置は、感染状況等に応じて変化し得ることから、衛生福利部疾病管制署のHP(https://www.cdc.gov.tw/)や当協会のHP(https://www.koryu.or.jp/tabid2169.html)を参照し、最新かつ正確な情報の収集に努めてください。また、新型コロナに関連する台湾当局の定める義務に違反した場合、関連規定により高額な罰金が科される場合がありますので、十分に注意してください。

9 在留届等の提出

日本台湾交流協会は、台湾での大規模事故発生時や地震・台風等の自然災害による被害発生時には、在留邦人から提出された在留届のデータを基に安否確認を行うこととしており、在留届が邦人の安否確認に大きな役割を果たしています。また、在留届に記載されたメールアドレスには、新型コロナウイルス感染症に関する情報(台湾当局の防疫措置・ワクチン接種関連等)や安全に関する情報を含む各種情報を配信しています。台湾に3か月以上在留される場合は、日本台湾交流協会に在留届を提出していただくようお願いします。また、日本への帰国や、以前届け出た住所から既に引っ越しているなど、届け出た内容に変更がある場合には、当協会のHP(https://www.koryu.or.jp/consul/stay/)を参考にして「帰国・転出届」や「変更届」の提

出をお願いします。

連絡先

公益財団法人 日本台湾交流協会高雄事務所 領事室

住 所 高雄市苓雅区和平一路87号10F

電 話 (07)771‐4008

FAX (07)771‐2734

メール ryoji-k1@ka.koryu.or.jp