4月30日、ルクセンブルク政府は、当国の新型コロナウイルス感染状況、ワクチン接種戦略、インドからの渡航者に対する新たな規制措置等について会見を行いました。概要は以下のとおりです。
(ベッテル首相)
1 新型コロナウイルス感染状況
(1)本日午前の閣議において、現在の新型コロナウイルスを巡る状況等について議論を行った。過去数週間、一日の新規感染者数は200人前後、検査の陽性率は約2%に維持されており、現行の措置の効果が現れている。現行措置による効果を完全に判断するには時期尚早であるが、今後現状の数字が維持されて急激な感染拡大が見られなければ、来週の閣議において新たな措置が議論され、来週水曜日に発表されることになるだろう。前回会見で述べたとおり、現状を保つことができれば、プライベート活動における更なる緩和が可能となるだろう。
(2)来週の発表では、現在議論の最中である特定の分野における検査戦略や、簡易検査の活用による特定セクターの再開等についても発表できる可能性がある。
(3)病院においては、傾向として、65歳以下の入院が増加している。ワクチン接種により、現在新型コロナウイルスによりもっとも入院しているのは、もはや65歳以上の高齢者ではないということである。高齢者の感染やケアホーム内での感染も減少しており、これらの施設では既に82%の利用者がワクチン接種を完了している。
2 ワクチン接種戦略
(1)本日政府は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社ワクチンの使用に関する感染症高等評議会(CSMI)の前向きな勧告を受けた。CSMIは、30歳以上の者に対し規制なく同ワクチンの使用を推奨している。当初、ジョンソン・エンド・ジョンソン社ワクチンについても、アストラゼネカ同様に通常接種とは別枠で任意ベースでの接種希望者登録の実施が示唆されていたが、これは行われない。唯一制限が想定されるのは30歳未満の接種である。
(2)本日より、日々の余剰ワクチンの接種を希望する人のウェイティングリストのオンライン受付が開始した。既に4100人以上の人が登録を行っている。日々の余剰ワクチンはそこまで多い訳ではなく、前回会見時にも余剰は5回分ほどと伝えていたが、ワクチンは無駄にしてはならない。これは国民議会において議論されたアイディアであり、ウェイティングリストの登録者は、一日の終わりにワクチン接種センターで使用できなかった分のワクチンの接種を行うことができる。リストへの登録は18歳以上の当国在住者は皆対象となっており、登録者は年齢に従って18時30分〜19時の間に電話連絡を受け、連絡後20分以内にワクチンセンターに来ることが求められる。リストへの登録は5月8日まで受け付ける。登録者
への招集は登録順ではなく年齢(ワクチンの種類次第)によって行われるため、急ぐ必要はない。
(3)ワクチンについては、今後2か月間で、ファイザー社から256,590回分、アストラゼネカ社から21,600回分を受け取る予定であるが、その最終確認を待っている。モデルナ社からは6月までに40,800回分のワクチン入荷が約束されている。これらのワクチンが予定どおり配達されれば、174,000人のワクチン接種が可能となる。ジョンソン・エンド・ジョンソン社ワクチンについては、ルクセンブルクに配達される正確な数量をまだ把握していない。
(4)ルクセンブルク市内LuxExpoに新たなワクチン接種センターを開設予定であり、昨日もしくは本日から稼働できればよかったのだが、これらの配達が確定するまでは開くことはできない。同センターが開けば、そこでは最大95,000回/週のワクチン接種キャパシティーが想定されている。
(5)アストラゼネカ社ワクチンの接種希望者のためのウェイティングリストについては、既に3万人近くの人が登録を行っており、そのうち16,200人は既に案内状を受け取り、14,400人が接種予約を完了している。自分(ベッテル首相)もまた同リストへの登録を行っており、5月6日(木)の朝にアストラゼネカ社ワクチンの接種を予定している。今後も予定どおりにワクチンが届けば、ウェイティングリストの残りの人々も案内状を受け取ることになるだろう。
(6)ワクチン接種の参加率は、約75.2%となっている。政府はこの結果に満足している。ワクチン接種は義務ではないが、既に入院数の推移等から、ワクチンの効果として通常の生活に前進ができていることを強調したい。
(7)本日昼時点において、当国では合計193,585回のワクチン接種が行われた。141,210人が第1回の接種を行い、51,333人が2回の接種を完了している。既に当国に届いているワクチンのうち81%が使用された。来週は3万件の接種予約が入っており、15,000人が第2回接種のため招集されている。保健省も発表したとおり、ワクチン接種戦略の最終フェーズ(第6フェーズ)が開始している。
(レナート保健相)
3 インドからの渡航者に対する新たな規制措置
インドの状況を見ると、危機はまだ終わっていないということがわかる。本日シュミット保健局長からは、インドから当国への渡航者に対する追加的な渡航制限及び検疫措置の実施が要請された。ルクセンブルク行きのフライト搭乗の際には陰性検査結果の提示が求められ、フィンデル空港到着時の無料のPCR検査を実施するといった措置であり、入国後は7日間の隔離を行い、6日目に行う検査結果が陰性であれば国内を自由に移動することが可能となる。インド型変異株は既にルクセンブルク国内で確認されている。わずかではあるが慎重な対応が必要となり、この変異株の感染拡大を防ぐため新たな措置が重要となってくる。
4 ワクチン接種・検査戦略
(1)ワクチン接種と検査戦略は、引き続きパンデミックに対抗する効果的な手段となっている。症状がある場合にはPCR検査の実施が原則である。その他、昨年10月以降は簡易抗原検査も使用されており、現在は店舗や薬局で購入が可能である。保健省は、簡易検査の様々な種類についての説明も発出している。
(2)検査には2種類ある。一つは保健セクターの専門家によって実施されるPCR検査であり、陽性の場合には保健当局への結果通知が義務づけられている。他方、各自で実施が可能な簡易自主検査(rapid auto-test)については結果通知は義務ではないが、保健省は当局への通報を呼びかけている。これらの簡易検査は、日常生活における追加的な予防措置としての使用が想定されており、通常生活への復帰に向けた一歩である。簡易検査には誤った陰性結果が出るわずかなリスクがあるが、それでもこれらの検査の使用は感染者の検出に役立っている。これらの検査は、例えば高齢者・ケアホーム等リスクの高い場において職員や訪問者に使用されており、今後はビジネス環境においても日常的な使用が推奨され、企業等への無料での実施が
可能となるよう配布を行う予定である。
(3)学校においても、週に2回の生徒の簡易検査実施が試験的に行われており、全生徒同時ではなくローテーション形式で検査を実施している。また、スポーツ分野においても、既に大会によっては簡易検査の実施が義務づけられる。こうした簡易検査はHORECA(ホテル・レストラン・カフェ)分野の再開のためにも使用が検討される。
(4)陽性の疑いがある、もしくは症状がある場合や感染者との接触があった場合には、自己隔離とPCR検査の実施が推奨される。昨年秋には、EUの共同購入により「第一世代」簡易検査を50万回分購入した。現在は1450万回分の検査を発注済みである。これらは、高齢者・ケアセクター、学校、企業、ボランティア、公共及びプライベートセクター、国際機関等における使用が想定されている。既に職場を離れた定年退職者や失業者については、薬局で簡易検査を入手できる引換券が配布される予定である。また、その他対象から抜け落ちてしまった人のためのヘルプラインも用意される。
(5)対象セクターへの簡易検査キットの配布戦略については、追って発表を行う。今後の規制緩和に向け、簡易検査を戦略に含めるのは重要なことである。政府は、パンデミック当初のマスク配布と同様に、すべての人が簡易検査へのアクセスができるようにすることが重要であると考えている。
(6)緊急事態に備え、1週間のうちに当国在住者を全員2回ずつ検査できるよう予備分も残している。
5 質疑応答
(1)(余剰ワクチン接種のウェイティングリストに登録した場合、アストラゼネカ社ワクチンの接種となる可能性はあるか。)
(ベッテル首相)もしその人物が高リスクもしくは55歳以上であった場合にはアストラゼネカ社ワクチンとなる可能性もあるが、現在同社ワクチンの接種については任意リストの登録者を優先していることから、この可能性は低くなっている。
(2)「ワクチン・ツーリズム(旅行会社等が実施する、他国でのワクチン接種を目的とした旅行)」によってセルビア等の国でワクチン接種を行った場合、どのような扱いとなるのか。1回目のワクチンを海外で受けた場合、MyGuichet(当国政府のオンラインシステム)にどのように報告すればよいのか。)
(ベッテル首相)第一に、ワクチン接種の証明書は自身とまわりの人々を守ることを目的としたものである。既にフランスで生じた例もあるが、インターネット上でPCR検査の偽装検査結果の売買が行われているようなので、念のため偽装の接種証明書の購入を考えている人がいれば伝えたい。また、一部の国においてはEMAに承認されていないワクチンが使用されているが、ワクチン接種証明書の発行は各国当局の責任となる。
(レナート保健相)通常、海外でワクチン接種を行えばその証明書を受け取ることになる。EUのデジタル証明書は夏までに進展する見込みであるが、その主な狙いは、EMAによって承認されたワクチンに関しEU域内で相互に情報交換が可能となることである。ルクセンブルク国外で行われたワクチン接種に対して当国が証明書の発行を行うことはない。我々がワクチン接種を保証し、証明書を発行できるのは、当国内で行われたもののみである。
(3)(第1回と第2回接種で異なる種類のワクチンを接種することはあるか。)
(ベッテル首相)CSMIの勧告によれば、混ぜるべきではないというのは明確である。余剰ワクチンのウェイティングリスト登録者についても当然2回同じ種類のワクチンが接種される。
(4)(既に感染したことのある人は、ワクチンを1回もしくは2回受けるのか。)
(レナート保健相)現時点では、ECDCの勧告に従い2回の接種を行っている。
(5)(公園等で実施される野外パーティーについてどのように考えるか。)
(ベッテル首相)必要な場合には警察が介入する。残念ながら、こうしたパーティーにはリスクがある。既に例として、高校生のプライベートパーティーで複数人の生徒にウイルスが感染したケースがある。ウイルスは自宅に運ばれ、家族に感染することもありリスクが大きい。夜間外出制限は、このような夜のパーティーを制限するための措置のひとつである。
在留邦人の皆さま及びご旅行中の皆さまにおかれましては、今後も政府発表や報道、下記サイト等を通じて最新情報の収集に努めてください。
https://covid19.public.lu/en.html
■ワクチン接種戦略(各フェーズ)に関する説明
https://covid19.public.lu/en/vaccination.html
■在ルクセンブルク日本国大使館新型コロナウイルス関連情報サイト
https://www.lu.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00017.html
(ご連絡先)
在ルクセンブルク日本国大使館
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