新たな規制緩和の発表

 5月5日、ルクセンブルク政府は、当国の新型コロナウイルス感染状況、ワクチン接種・検査戦略、新たな規制緩和の発表等について会見を行いました。概要は以下のとおりです。

1 新型コロナウイルスの感染状況

(1)新たな感染者の急激な増加が見られた場合には対策を講じるが、現時点では下水や病院における状況を見る限り、安定した状況である。またワクチン接種の効果が出ており、それは感染者や入院者の年齢が下がっていることからもわかる。救命救急センターの状況は安定しているものの、通常の医療機関では、1日の患者数に大きなばらつきがある。

(2)変異株は引き続き懸念されており、遺伝子検査では英国変異株が最も多く検出されている。他にも多くの変異株が存在し、その多くは「未知」であり、必要に応じて「緊急的措置」が実施される可能性がある。

(3)ここ数週間の発症率は、7日間で10万人あたり176.30件となっており、これも良い方向へ向かっていることを示している。

2 ワクチン接種・検査戦略

(1)今後、ワクチン接種の回数を大幅に増やす予定である。5日の時点で、当国に納入されたワクチンの総数は283,130本で、そのうちファイザー社ワクチンが182,130本、、アストラゼネカ社ワクチンが72,000本、モデルナ社ワクチンが21,600本、ジョンソン・エンド・ジョンソン社ワクチンが8,400本となっている。

(2)5日の時点で、実施されたワクチン接種の総数は216,279回である。5日の時点では、利用可能なワクチンの76%が使用された。6月末までに、ファイザー社ワクチンは273,360回、モデルナ社ワクチンは40,800回の接種が予定されている。また5月末までにジョンソン・エンド・ジョンソン社ワクチンは9,400回、5月中旬までにアストラゼネカ社ワクチンは8,600回の接種が予定されている。

(3)アストラゼネカ社及びジョンソン・エンド・ジョンソン社が約束を守れば、アストラゼネカ社から6万回、ジョンソン・エンド・ジョンソン社から6万回分のワクチンが接種可能となり、さらに9万人がワクチン接種を受けることが可能となるが、この数字はまだ確認されていない。

(4)5月4日夕方の時点で、アストラゼネカ社ワクチンの接種希望者のためのウェイティングリストには、31,200人が登録されている。ベッテル首相も登録済みであり、6日の朝にアストラゼネカ社ワクチンの第1回目接種を予定している(注:その後予定通り第1回目の接種を受けた旨報道あり)。

(5)日々の余剰ワクチンの接種を希望する人のウェイティングリストには、20,100人が登録しているが、過去数日間で、ワクチン接種センターにおける余剰ワクチンはなかった。

(6)予防接種センターから送付されたすべての案内状に対するワクチン接種の参加率は、約76%となっている。ワクチン接種による影響を見ると、年齢層が高い程、ワクチン接種参加率が高く、同年齢層では新型コロナウイルス感染による入院の確率も低いことがわかる。

3 新たな規制緩和の発表

新たな規制緩和措置について、国民議会において議論が行われる。

(1)個人宅への訪問では、同一世帯に属さない、異なる世帯から最大4人を招待できるようになる。家族(同住所に居住する同世帯)を招待する場合、(3人の子供を持つ夫婦が他の家族を訪問する等)は4人以上の訪問が可能となる。

(2)上記ルールは、HORESCA(ホテル、レストラン、カフェ)部門においても適用され、適切な距離を置いた上で、屋外のテラスにおいては4人が同じテーブルに座ることができるようになる。

(3)HORESCA部門においては、テラスをオープンしても、悪影響がなかったため、閉店時間は22時まで延長される。(現在は午前6時から午後6時まで)。

(4)屋内における営業については、同じく4人が同じテーブルに座ることができるが、追加的な措置として事前に簡易自主検査を実施する必要がある。HORESCA部門に対して、各企業の従業員数に応じて50万個の簡易抗原検査が配布される予定である。予防的措置として、テストを受ける前にレストランに入ることはできない。

(5)イベントは、150人までの集客が可能である。保健省の認証したパイロット・プロジェクトの枠組みの中で、厳格な衛生基準を満たせば、1,000人までのイベントを開催することができる。

(6)夜間外出制限は午前0時(午後24時)から午前6時までとなる。(現在は午後11時から午前6時まで)。

(7)スポーツについては、公共の場において、衛生的な規則を守るという条件の下、一般の人も実施できる。プールについても新たな対策が検討される。

(8)文化の分野では、4人の音楽家に対して、2メートルの社会的距離を尊重する必要がある。屋外においては、最大40人の音楽家が2メートルの社会的距離を保って演奏することができる。

(9)これらの制限緩和措置は、衛生的な規則を尊重した上で行われ、一定の標準的な状態に向けて、段階的に措置を緩和することを目的としている。ワクチン接種への参加率は高く、このような緩和が可能な理由でもあるが、検査等の対策は引き続き実施され、簡易検査は日常生活の一部となるだろう。パンデミックにおいて、協力してくれるすべての人々に感謝している。

(レナート保健相)

4 新型コロナウイルスの感染状況

(1)安定した状況のおかげで、私たちは良い方向に向かっており、楽観的になることができる。しかし、リスクは依然として存在しており、そのリスクを可能な限り低く抑えるために必要な措置を講じる必要がある。

(2)感染レベルが安定しているということは、ワクチン接種が特定の年齢層に対して既に効果を発揮していることを示している。週間報告書によれば、60歳以上の年齢層では若い年齢層に比べて新型コロナウイルスへの感染や入院の頻度が低いことがわかっている。これは感染しやすい高齢者の感染や入院が少ないことを意味する。しかし、ワクチンで保護されているにもかかわらず、1回目の接種後に727人が感染し、2回目の接種後に217人が感染している。2回目の接種から2週間後に139人が感染している。何らかの理由でワクチンが効かなかった「接種失敗」が存在する。

(3)入院者数については、20%の減少が見られる。数週間前から若年層の入院が増えており、現在の傾向としては、これらのグループは入院期間や救急治療の期間が長くなっている。

(4)パンデミックによる若年層への精神的な影響も大きい。パンデミックの重圧に耐えられなくなって命を絶ったケースも把握している。

(5)パンデミックが始まって1年が経過した今、当国でもその影響は否定できない。だからこそ、必要な予防的措置を尊重しつつ、人々に希望を与えるために一定の緩和が必要である。

5 簡易検査の実施及びその他の変更点

(1)新しい習慣としては、「ゲームチェンジャー」と呼ばれる簡易検査及び自主検査に慣れる必要がある。このテストは、病院や学校、高齢者施設、社会部門での使用が既に計画されている。これらの分野では全員が週に2回の検査を行うことを目標としている。企業や自営業者も、労働省やUEL(ルクセンブルク企業連合)、自治体の協力を得て、自主検査を受けることとなる。公共部門では5月10日から、自治体の職員では5月12日から、簡易自主検査が実施される。5月12日からは、退職者や失業者など職業的に活動していない人対して、薬局で簡易自主検査のパッケージを入手するためのバウチャーが郵送される。

(2)屋内での食事については、簡易自主検査の活用が予定されており、商工会議所の協力を得て、5月7日から50万件の検査キットが配布される。HORESCA部門における検査については、過去72時間以内のPCR検査、過去24時間以内の認定された簡易検査(5月12日から薬局において実施)、またはその場での簡易自主検査が可能である。

(3)また、文化やスポーツの分野でも、より多くの観客に様々な衛生基準を試してもらうためのパイロット・プロジェクトの枠組みの中で、自主検査が使用される予定である。

(4)保健省は簡易自主検査の仕組み、陽性反応が出た場合の対処法など、その他の必要な情報を国民に伝えるための情報チラシを配布する。また、簡易自主検査の精度は100%ではないため、例え陰性であっても症状がある場合や感染者と接触した場合はPCR検査を行う必要がある。人々に対して、接触する相手を選び、可能な限り接触を制限することを呼びかけている。新型コロナウイルスは単なる小さなインフルエンザではない。同時に状況が良い方向に向かっていると楽観視している。

(5)感染の疑いのある者に対する健康診断及び鼻咽頭スワブ検査実施のための相談センター(CCC:Covid-19 Consultation Centers)への来訪者数が減少しているため、5月17日以降、CCCを閉鎖する予定である。症状が出た場合には、一般医に連絡してほしい。

【質疑応答】

(1)(夜間外出禁止令を完全に解除しないのはなぜか)

ベッテル首相)いくつかの研究によると、夜間の接触を制限するために外出禁止令が有効であることが判明している。オックスフォード大学の研究によれば、夜間外出禁止令は、例えば学校を閉鎖するよりも効果的だそうである。政府としては、学校を閉鎖するよりも夜間外出禁止令の方が良い選択肢であることは明らかであると考えている。私たちは、パンデミックが終わったかのように装うことはできない。この措置が私たちの日常生活を制限することはわかっている。しかし、この措置は「ナイトライフ」を制限することを可能にし、私たちにはこの制限が必要なのである。

(2)(ドイツとノルウェーでは、ワクチンを接種した人にはより多くの自由が与えられることが決定されたが、これに関する政府の見解はどうか)

(レナート保健相)現状では、ワクチンを接種しても感染する可能性があることから、引き続き状況を観察していく。私たちは、デジタルグリーン証明書の可能性をEUレベルで、また国内でも評価したいと考えている。しかし、時期尚早であり、様子を見たい。現在、高齢者施設におけるクラスター感染に関する調査も行ってい

るので、ワクチンを接種した人が引き続き感染するかどうかについては、より詳細に評価する必要がある。

(3)(一般開業医によるワクチン接種に関する議論はどうなっているか)

(レナート保健相)今のところ、ワクチンの量は十分ではない。ワクチン接種センターはうまく機能しており、良いフィードバックを受けている。ワクチンが不足している限り、引き続きワクチン接種センターにおける接種を行いたい。なぜなら、それがロジスティック的に最も効率的だからである。ワクチンの数が増えれば、この方法は見直される可能性もある。

ベッテル首相)例えば、ルクセンブルク市内LuxExpoのワクチン接種センターは、十分なワクチンがないため、まだ開設されていない。

(4)(レストランにおける検査について、リストに名前を記入するなどの、実際の対策はどうなっているか)

ベッテル首相)法律では、検査結果が陰性であることが確認できない限り、その人に食事を提供することはできないと定められる。レストラン経営者は、この証明書を見て、偽造されていないかどうかを確認する権利がある。自主検査の実施方法については、レストランの前で行うか、店内のテーブルで行うかなど、まだHORESCA部門との話し合いが必要である。そして、その結果が出ない限り、サービスを提供することはできない。5月15日までにHORESCA部門と話し合い、どのようにするかを決める予定である。

(レナート保健相)レストランや客はこの措置を尊重する必要があり、リストの作成は予定されていない。

(5)(公共の場における飲酒については、これまで通り禁止されているか)

ベッテル首相)何も変わっていない。(禁止されたままである。)

(6)(援助・ケア・ネットワーク(Resaux d'aides et de soins)に関する議会答弁によれば、高齢者ケア施設等の従業員の46%、同施設の入居者等の55%が予防接種を受けている。この数字を改善するために何かしているか?)

(レナート保健相)ワクチン接種は現在も継続しているが、ワクチン接種に対する懐疑的な見方が減っていくと楽観的に考えている。また、登録を拒否していた人が登録できるようになったことで、利益を得る人もいる。

(7)(病院における入院者が以前より若くなっているようだが、入院者に共通点はあるか。要因は何か)

(レナート保健相)病院からの情報によると、入院する人は、既存のリスクのない若い人たちだそうである。これは新しい変異株に起因しているのではないか。

 在留邦人の皆さま及びご旅行中の皆さまにおかれましては、今後も政府発表や報道、下記サイト等を通じて最新情報の収集に努めてください。

ルクセンブルク政府(新型コロナウイルスに係る最新情報)

https://covid19.public.lu/en.html

■ワクチン接種戦略に関する説明

https://covid19.public.lu/en/vaccination.html

■在ルクセンブルク日本国大使館新型コロナウイルス関連情報サイト

https://www.lu.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00017.html

(ご連絡先)

ルクセンブルク日本国大使館

TEL: (+352) 46 41 51-1

e-mail:consulate.embjapan@lx.mofa.go.jp

URL:https://www.lu.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html