安全情報:ルサカ市内の暴動及び有毒ガス散布事件

2月22日,カンガンジャ(Kakoma Kanganja)警察庁長官(Inspector Generel)は,首都ルサカ及び各地で発生している暴動及び有毒ガス散布事件に関して記者会見を行い,ステートメントを発表したところ,右によれば,一連の事件のポイント及び全文(和仮訳)は以下のとおりとされています。

ルサカ市やその他各地で発生した一連の事件の発端は,昨年8月にコッパーベルト州で発生した3つの殺人・暴行事件

○本年1月にコッパーベルト州チンゴラで暴動が発生した際,儀式殺人に係る偽情報の拡散,有害なガスの散布といった事象が発生。こうした形態を伴う暴動がザンビア各地,さらにはルサカに拡散

○2月13日〜14日のルサカ市各地で発生した暴動は,有毒ガス散布の情報に対し同地の自警団が過剰に反応したために過激化したものと分析

○治安当局による事態沈静化のための活動により,暴徒化した集団活動は抑制され,一方で暴動の背後にあった事件の容疑者の逮捕により,全体像が解明されつつある。

○現在の治安情勢はコントロール下にあり,ザンビアの全治安機関が安全確保のため全力を尽くしている。

1 序言

(1)警察当局は一連の事件について,慎重にかつ間隔を開けて情報を開示してきたところ,捜査に進展が見られ,重要な逮捕につながったので,詳細な情報開示を行う。

(2)今般の一連の騒擾は,コッパーベルト州チンゴラで3つの家族が犠牲となった犯罪に端を発するものである。

2 これまでの経緯

(1)チンゴラで発生した3件の事件

 ア 昨年8月29日コッパーベルト州チンゴラにおいて,家族が武装勢力に襲われ,母親はレイプ後に殺害され,子供4名は重傷を負った。(1件目)

 イ 12月15日コッパーベルト州チンゴラにおいて,9歳男児が襲われ重傷を負った。(2件目)

 ウ 同月29日コッパーベルト州チンゴラにおいて,1家族が何者かに襲われ,男性が重傷,女性がレイプ後に殺害された。(3件目)

 エ これらの事件の容疑者が民衆により告訴されたが,逮捕された容疑者が供述した関係者は事件に関係していないことが判明し,名指しされた呪術師も関与していないことが分かった。

 オ 全ての犯行に共通する手口として,建築途中の家を標的として,窓を使用して出入りをし,犯行後に物を盗まないことである。惨殺された被害者を埋めようとして争いが起こった後に暴動が発生し,この暴動に関与した29名が逮捕された。

(2)暴動及びガス散布被害の発生,被害地域の拡大

 ア 本年1月8日コッパーベルト州チンゴラ及びその周辺で暴動が発生し,暴動容疑で158名が逮捕された。

 イ 暴動を誘発したもう1件の事象は,ZAMTEL(当地での電話会社)を破壊した容疑で警察が容疑者を逮捕しようとした際の状況である。同容疑者はその後同地の有名ビジネスマンの使用人と後で判明したのだが,群衆はそのビジネスマンを殺人事件に関連付け,その者の家や財産に放火するとともに付近の商店から略奪行為を行った。

 ウ この間,他国で発生した映像などがSNSにより拡散され,起きてもいない儀式殺人の発生を伝え,市民に恐怖とパニックを与えた。

 エ その後の犯罪傾向は,個々の住居に対する攻撃から公共の場での有害な化学物質を含むガスを散布する行動に移行していき,最初にコッパーベルト州で始まった。

 オ ガス散布被害はコッパーベルト州の各地及び北西部州に拡大し,暴動により警察署等の施設が破壊された。この暴動により35名が逮捕された。

(3)首都ルサカでの被害発生と地方への拡散

 ア これまでコッパーベルト州や北西部州で発生していた暴動やガス散布は,2月上旬から首都ルサカで発生するようになり,同月13日にルサカ州内チャワマ,カニャマ,マテロ等で暴動及びガス被害が発生,暴徒はガス散布を疑う民間人を自ら殺害し,検問所を設置して民間車両を破壊した。その後,東部州,北部州,中央州,南部州の各州に被害が広がった。

 イ 市民は自分たちを守るために自警団を作った。これはチンゴラではうまく機能したが,ルサカでは公共の場で無実の市民を攻撃するなど治安悪化の原因となった。

 ウ ルサカ州カフエでは,自主的な検問所を設置してガス散布の疑いがある自動車を破壊して,容疑者を確保する警察を攻撃した。また,マザブカでは病院から疑わしい市民を引きずり出し暴行して火を付けたりするなど,一部の自警団は暴徒化していった。

3 分析と警察によるオペレーション

(1)分析

 群衆によるリンチが関与する事件及び犯行手口を分析した後に捜査を進めた結果,何が群衆をあのような形で行動するように扇動する動機であったのかが解明された。また,人々の集団が形成され各地に広がったこと,そして,これら集団が各地コミュニティの群衆によるリンチの先鋒を務めていたことが明らかになった。

 2月20日のオペレーションにおいて,各地の人々に影響を与え,殺人や放火につながった群衆によるリンチの背後にある首謀者5名を逮捕した。このうち,ルサカカニャマでは2名,チョングエで3名を捕らえることができ,彼らは殺人容疑で起訴される。

(2)警察によるオペレーションの結果

 ア 暴徒による犠牲者は23名が負傷し,43名が死亡した。

 イ ガス散布被害として,511件が報告され,1687名の被害者が発生し,11か所の警察施設が破壊された。

 ウ ガス散布容疑により16名が逮捕された。

 エ 特に重要な容疑者は次の2名

  ・ ムバンガ エリザベス(Mubanga Elizabeth)

    コッパーベルト州チンゴラ在住でミュージシャンの妻である同容疑者は,コッパーベルト州の水道管理会社が化学物質で汚染されており,その水を飲まないようにSNSで呼びかけ,市民に恐怖と混乱を引き起こした罪で逮捕された。

  ・ ジミー ブエムバヤ(Jimmy Bwembya)

    23歳の同容疑者は,他国で発生した殺人事件の動画をチンゴラで発生したかのように見せかけSNS上で拡散した容疑で逮捕された。また,後にチンゴラでの別の殺人に関与していることが明らかになり,殺人,殺人未遂及び強姦の罪で起訴された。

4 以上の総括

(1)これまでの努力により,暴徒化された活動は抑制され,情勢悪化していたルサカ州,コッパーベルト州及び北西部州において治安状況が改善されている。市民による法の執行やガス散布事案は減少してきているが,警察や軍などの政府は引き続き状況の監視を継続する必要がある。

(2)現在の治安情勢はコントロール下にあり,昼夜問わず全ての治安機関がザンビアの安全確保のため最善を尽くしている。犯人逮捕につながる様々な情報を共有してくれた市民に感謝するとともに,今後犯罪行為に関与しようとするものに隠れる場所はないことを警告する。

(3)ヘイトスピーチのためSNSを使用して罪のない国民を恐怖に陥れる犯罪行為に対して,私たち警察は活動することを約束する。サイバースペースに隠れる場所はない。

【問合わせ先】

ザンビア日本国大使館 領事警備班

+260-977-77-1205

+260-977-77-1206

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