在留邦人の皆様
カメルーン、チャド及び中央アフリカが対象国となっている感染症広域情報(ポリオ発生状況)が下記のとおり更新されましたので、ご一読をお願いします。
【ポイント】
●世界保健機関(WHO)は、ポリオウイルスについて「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」を宣言しています。
●ポリオ発生国(パキスタン*、アフガニスタン*、ナイジェリア*、ラオス)に渡航する人は、追加の予防接種を検討してください。
*これらの国の全土又は一部に退避勧告を発出中。
感染症広域情報:ポリオの発生状況(ポリオ発生国に渡航する際は、追加の予防接種をご検討ください。)(その5)
1 ポリオの発生状況
(1)世界保健機関(WHO)は、2014年5月5日、ポリオウイルスの国際的な広がりが、「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC、 Public Health Emergency of International Concern)」であることを宣言しました。また、2017年2月8日、国際保健規則(IHR)緊急委員会の第12回会合を開催し、現在の状況が引き続きPHEICに該当するとの見解を示すとともに、各国の発生状況を以下のとおり評価しています。
○「ポリオウイルス(野生型又はワクチン由来)を国外に輸出している国」
野生型(WPV1):パキスタン
○「ポリオウイルス(野生型又はワクチン由来)の発生があるが、現在は国外に感染を輸出していない国」
野生型(WPV1):ナイジェリア、アフガニスタン
ワクチン由来(cVDPV):ナイジェリア、パキスタン、ラオス
○「もはやポリオウイルス(野生型又はワクチン由来)の発生がないが、引き続き国際的な感染拡大の影響を受けやすく、ワクチン由来ポリオウイルスの出現と伝播が起こりやすい国」
野生型(WPV1):カメルーン、ニジェール、チャド、赤道ギニア、中央アフリカ
ワクチン由来(cVDPV):ウクライナ、マダガスカル、ミャンマー、ギニア
(2)パキスタン政府は、同国に4週間以上の長期滞在する外国人を含めた全ての人にポリオ予防接種を義務化し、WHOが推奨する国際予防接種証明書の交付を行っています。
(3)アフガニスタン出入国時には、国際予防接種証明書の所持が求められることがあり、所持していない場合は、空港で予防接種を受けなければならないことがありますので、最新の情報は在アフガニスタン日本国大使館にお問い合わせください。
(4)以上を踏まえ、ポリオ発生国(パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア、ラオス)への渡航を予定している方及び現地に滞在している方は、以下2を参考にポリオの予防接種を検討してください。特に、現在ポリオウイルス感染者の発生が報告されている地域に渡航する場合は、以前に予防接種を受けていても、追加接種をご検討ください。現地の小児定期予防接種一覧、医療機関情報等については、渡航・滞在先の在外公館のホームページや在外公館医務官情報(末尾に掲載)をご参照ください。
(参考)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/
厚生労働省検疫所FORTHホームページ:海外渡航のためのワクチン
http://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html
(5)なお、外務省は、アフガニスタン全土、パキスタン及びナイジェリアの一部地域に退避勧告を発出し、どのような目的であれ渡航を止めるよう注意喚起しています。以下の危険情報をご参照ください。
アフガニスタン:http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_041.html
パキスタン:http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_011.html
ナイジェリア:http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_115.html
2 ポリオについて
(1)感染源
ポリオ(急性灰白髄炎)は、感染者(特に小児)の糞便又は咽頭分泌液との直接接触等によってポリオウイルスが人の口の中に入り、腸の中で増えることで感染します。増えたポリオウイルスが再び便の中に排泄されて、この便を介してさらに他の人に感染します。まれに汚染された水や食物などからも感染します。成人が感染することもありますが、主に小児で起こります。
(2)症状
潜伏期間は3〜21日(通常は7〜21日)、感染しても90%〜95%は無症状(不顕性感染)です。4〜8%は軽症であり、発熱、風邪のような症状や胃腸症状(咽頭痛、咳、発汗、下痢、便秘、悪心など)が見られます。また,感染者の1〜2%は、頭痛、嘔気、嘔吐、頸部及び背部硬直などの髄膜刺激症状を呈します。感染者の0.1〜2%が典型的な麻痺型ポリオとなり、1〜2日の風邪のような症状の後、解熱に前後して急性の筋肉、特に下肢の麻痺(急性弛緩性麻痺)が起きることが多いです。発症から12か月過ぎても麻痺又は筋力低下が残る症例では、永続的に後遺症が残る可能性があります。
(3)治療
麻痺の進行を止めるための治療や、麻痺を回復させるための治療が試みられてきましたが、現在、特効薬などの確実な治療法はありません。麻痺に対しては、残された機能を最大限に活用するためのリハビリテーションが行われます。
(4)予防
ア 予防接種
日本の定期の予防接種では、平成24年8月までは経口生ワクチンが使用されていましたが、平成24年9月以降は注射の不活化ポリオワクチンが使用されています。ポリオが発生している国に渡航する人は、追加の予防接種を検討してください。
なお、生ポリオワクチンを接種した場合、ワクチンウイルスが体外に排泄されるため、極めてまれではありますが、接種後便中に排泄されるワクチンウイルスから免疫のない子供や大人に感染し、麻痺をおこすこともありますので、接種後の衛生管理にも注意してください。ただし、日本国内で主に用いられている不活化ポリオワクチン接種(注射によるもの)では、基本的にこのようなことが起こることはないとされています。
イ 感染予防
ポリオの流行地では以下のような感染予防対策を心がけ、感染が疑われる場合には、直ちに医師の診察を受けてください。
●こまめに石けんと水で手洗いし、特に飲食の前、トイレの後は念入りに手洗いを励行する。
●野菜や果物は安全な水で洗い、食物は十分加熱してから食べる。
●乳製品は殺菌処理されたもののみ飲食する。
●飲料水や調理用の水はミネラルウォーターを使用する。水道水を利用する場合は、一度十分に沸騰させた後使用する。安全な水から作ったと確認できる氷以外は使用しない。
(5)予防接種証明書
ア 国内での予防接種証明書
国内での予防接種証明書の取得については、予防接種を実施した医療機関にご相談ください。
イ 海外での予防接種証明書
海外での同証明書の取得については、渡航先の日本国大使館にご照会ください。
3 海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet)
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367
○外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/(PC版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html(スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(モバイル版)
(現地在外公館連絡先)
電話:(市外局番なし)2220-6202、2220-6585
国外からは(国番号237)2220-6202,2220-6585
ホームページ:http://www.cmr.emb-japan.go.jp/jp/index-jp.html
※その他の現地大使館連絡先については外務省ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/zaigai/
でご確認ください。