(今回は、以下の軍事令に絞ってお伝えします。)
●4月9日深夜,内務大臣が記者会見を行い、緊急事態宣言の追加措置として新たな軍事令(軍事令第8号)の発令を発表し、この軍事令は、翌日(本10日)に官報に掲載されました。
この軍事令の中で当地邦人社会の生活や企業活動に一定程度以上関連し得るかと見られる点を、ここで列挙します。内容の全体は、以下の本文、またさらに軍事令自体を、ご覧ください(なお、広い分野にわたって種々の調整等が規定されていますので、本文では概ね全体を紹介しますが、基本的な新規制度の導入や大きな変更等は、ないものと見られます。以下で列挙の点を含めて、詳細は、以下の本文、軍事令自体を参照下さい。)。
●外出制限に細かい調整を追加(例えば、自動車関係の購入や修理のための外出、養蜂家による養蜂場への外出等が、認められる。)。(第1条)
●スペインとの間での商用航空便の運航停止を4月14日から14日間延長(第2条)。
●一定の農業関係者、農産品関係者、植物用農薬販売店等は、閉鎖しない。生産者は、一定の外出可。(第3条)。
●入国に伴う隔離措置の対象に細かい調整を追加(例えば、ハンガリーとの間で国境を越えて勤務する一定の者につき、症状が見られなければ、隔離対象から外す。)(第5条)。
医療設備関係者、科学技術、経済等の関係者についても、同様(第6条)。
●小麦、米、ひまわり等を原料とする油、砂糖等の食料品等の輸出を原則として禁止(第7条。但し、EU加盟国への当該国内消費用の売買は、除かれる(第8条)。)。
●一定のエネルギー関連企業の過半の株式の売買を禁止(第15条)。
●復活祭二件に際しての、一定の日の食料品等の店舗の営業時間帯の延長を許可(第17条)。
●上記の点他、当大使館からお知らせする内容を含めて、関係の情報が頻繁に更新されています。皆様には、最新状況の把握に引き続きお努めいただけますように、お願いします。
1(1)4月9日深夜23時頃に、ヴェラ内務大臣が、アラファト次官(緊急事態総局長)、デスペスク次官(警察長官)と共に記者会見を行い、新たな軍事令(軍事令第8号)の発出を発表しました。
この軍事令は、翌日(本10日)付けで官報に掲載されました。大方の条文が、官報掲載と同時に発効とされています。
(2)軍事令第8号の主な内容、以下のとおりです。
軍事令自体は、以下のサイトでご覧いただけます。
http://legislatie.just.ro/Public/DetaliiDocument/224762
【第1条】
・認可を受けている者の,ドナウ川,内水,黒海における商業的な漁業活動及び生産物の販売のための外出は認められる。
・認可を受けた養蜂家が養蜂場まで行くための外出は認められる。
・車両や自動車部品の購入と車の修理のための外出は認められる。
・漁業活動と養蜂のための外出の場合には,申立書の外出の理由は「職業上の理由」,車の購入等のための外出の場合は「必需品の調達」となる。
・この措置は、本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第2条】
・スペインとの間の商用航空便の運航停止措置を、2020年4月14日から14日間延長する。
・この措置は,政府専用機,貨物・郵便航空機,緊急医療又は人道のための航空便,非商業的な技術的着陸には適用されない。
・この措置は,緊急事態期間が延長され,内務大臣が軍事令による航空規制の措置を規定する権限が延長された場合にのみ,当初の大統領令195/2020号による緊急事態期間が終了しても,適用される。
【第3条】
・農産品市場は,許可証を所持し,新型コロナウィルスの拡散予防措置を尊重する生産者に対しては,緊急事態期間中も閉鎖しない。
・農業生産者が畑などから野菜市場まで外出することは認められる。
・植物用農薬の店舗は,緊急事態期間中も閉鎖しない。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第4条】
・国家特別緊急事態委員会決定により導入された,国境地点の全面的又は部分的な一時閉鎖期間を,緊急事態期間中延長する。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第5条】
・国境を越えて仕事をする者は,ハンガリーからルーマニアに入国する際に新型コロナウィルスの症状を示していなければ,隔離措置の対象外となる。
・「国境を越えて仕事をする者」とは,ルーマニア・ハンガリー国境の両側30km範囲内に居住,勤務していて,最低週一回家に帰る者を指す。
・この条件の下で入国が認められる国境地点は,Cenad, Nadlac, Turnu, Varsand, Salonta, Bors, Sacuieni, Urziceni, Petea。国境を越えて仕事をする者は,これらの国境を自動車又は農作業機で越えることができる。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第6条】
・医療関連設備の設置,調整,維持管理に携わる者が,ルーマニア国内のパートナー,顧客との契約関係を証明できる場合には,ルーマニア入国にあたり新型コロナウィルスの症状を示していなければ,隔離措置の対象外となる。
・科学技術,経済,軍事,公安,国家安全分野に携わる者も,同様に隔離措置の対象外となる。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第7条】
・緊急事態期間は,以下の農業産品の輸出が禁止される。
小麦,大麦,エンバク,とうもろこし,米,小麦粉,大豆,ひまわり及び種を原料とする油,砂糖,及びその他のお菓子,ビスケット,ケーキ,パン類の材料になるもの等
・これらの食料品,物資につき,本軍事令が効力を発する時点で実施中の輸出手続きは,緊急事態期間中は停止される。
・これらの食料品,物資への(輸出に必要な)基準遵守証明書の交付を中止する。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第8条】
・上記の食料品等のEU内における売買については,購入するEU加盟国の国内における使用のためであって輸出のためではないことを立証する場合に限り、行うことができる。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第9条】
・緊急事態期間中は,老人介護,障害を持つ又は持たない子供や大人のためのケアセンター,その他政令867/2014号に規定される弱者のための社会サービス活動の停止は,禁止される。
・これらの社会サービス施設に入っている人々の家族,支援者,後見人は,自宅における一時的な介護に自己責任を持てる場合には,要請により,施設からこれらの人々の自宅への引取りを申請できる。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第10条〜第14条】(省略)
第9条に規定された社会サービス施設について、さらに以下を規定。
・従業員の隔離義務や任務の時間帯,これらの施設への来客の訪問禁止等。
・社会サービス施設の従業員の宿泊先の確保に自治体も義務を持つこと,またこれらの従業員の防疫対策。
・これら施設の従業員が辞職する場合の届け出に要する日数。
・新型コロナウィルスの症状がある者が発生した場合や感染者との直接接触があるとの情報がある場合には,公衆衛生局が施設全員の検査を行う。
【第15条】
・緊急事態期間中は,国家エネルギー・システムに関連する企業(国有,私有を問わず)の過半数の株の売買を禁止する。緊急事態期間終了後,売買手続きは再開されるが,以前のスケジュールを考慮して適宜延期される。
・この措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第16条】
自治体及び建物の所有者に対し,アパート等複数の住居が入居する建物の入り口に消毒液を設置すること,エレベーター,階段その他の共同スペースの定期的な消毒を行うことを、勧告する。
【第17条】
(カトリックと正教会の)それぞれの復活祭(当大使館注:カトリック4月12日(日)、オーソドックス4月19日(日))の前の木曜日,金曜日,土曜日には,食料品等を販売する店舗は、必要に応じて営業時間を延長することができる。
【第18条】
軍事令第1号第9条に以下を追加する。
(当大使館注:軍事令第1号第9条は,様々な規定に違反した場合は,懲戒,罰金,民法あるいは刑法による罰則が適用されることに言及した条項。)
(軍事令第1号の)第5条に違反した場合(当大使館注:軍事令第1号第5条は、輸出が禁止されている医療衛生関係用品の国外持ち出しに違反した場合)には、規定された罰則等に加え,国外に持ち出そうとした物品を押収する。
この措置は,4月11日から適用される。
【第19条】
軍事令第5号第1条に以下を追加する。
「この措置は,緊急事態期間が延長され,内務大臣が軍事令により航空規制の措置を規定する権限を延長した場合にのみ,当初の大統領令195/2020号による緊急事態期間が終了しても,適用される。」
(当大使館注:軍事令第5号第1条の内容は、以下のとおり)
ルーマニアとイタリアとの間の商用航空便の停止期間を,4月6日から14日間延長する。この措置は,政府専用機,貨物・郵便航空機,緊急医療又は人道のための航空便,非商業的な技術的着陸には適用されない。)
【第20条】
軍事令第7号を以下のように改正する。
(1)第9条の以下の内容は,緊急事態期間が延長され,内務大臣が軍事令によって航空規制の措置を規定する権限を延長した場合にのみ,当初の大統領令195/2020号による緊急事態期間が終了しても,適用される。
(当大使館注:軍事令第7号第9条の内容は、以下のとおり)
・オーストリア,ベルギー,スイス,米国,英国,オランダ,トルコ,イランとの間の商用航空便の運航を14日間停止する。
・フランス,ドイツとの間の商用航空便の運航停止措置を2020年4月8日から14日間延長する。
(2)第10条は,以下のように改正される。
航空会社は,不定期便(チャーター便)によってルーマニアから季節労働者を他の国へ運搬することができるが,両国の関係機関からの許可証を得ることとする。
(3)第16条は,以下のように改正される。
新型コロナウィルスの拡散防止のため,病院を持つ省庁と地方自治体は,申請がある場合には,医療機関の従業員の休憩用の宿泊施設のスペースと一日三回の食事と水を、提供しなければならない。
これらの措置は,本軍事令の官報への掲載と同時に適用される。
【第21条】
(概要)警察,治安警察(ジャンダルメリア),各省庁等の各機関が,本件軍事令のどの条文の規定の施行に責任を有するかについて、規定。
また,本軍事令の第1−15条に違反する場合,懲戒,罰金,民事・刑事責任が問われる。
【第22条】
・軍事令第4号第6条(アパートの入り口への消毒液の設置を義務づける規定)及び第7条(医療機関を持つ省庁や地方自治体がその従業員に宿舎を提供することに関する規定)は、適用を停止する。
・本軍事令は官報に掲載される。報道機関は,官報掲載後少なくとも二日間にわたり定期的に国民に周知する義務を有する。
【問い合わせ先】
在ルーマニア日本国大使館領事部
電話:+40-21-319-1890(大使館が閉館している時間は,業務委託先へ転送されます)
メール:consular@bu.mofa.go.jp
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