【ポイント】
〇政府はクウェート人の新規感染者数が増加傾向にあることに懸念を示すとともに,全てのクウェート在住者に対し,保健省の健康ガイドライン(外出の自粛等)に従うこと,特にソーシャル・ディスタンスを確保すること,集まりを行わないことを繰り返し述べています。
〇引き続き感染予防には細心の注意を払って下さい。
【本文】
1.感染主体の変化
(1)当地では,3月末に外国人労働者が密集して暮らす地区の一つであるマハブーラ地区で新型コロナウイルス感染症の集団感染が発生,感染者は一気に増加しました。感染者が多いマハブーラ地区とジャリーブ地区は,当局によって完全封鎖・隔離されましたが,その後も外国人労働者の感染は続き,感染の主体は当初インド・エジプト・バングラデシュなど一部の国籍の外国人労働者が大半でした。
(2)一方で,クウェート人の感染者数は,4月24日までは1日あたり10名未満であったが,徐々に増加し5月5日には80名(総数526名の15%)に達し,その後も増加を続け,5月10日から3週間の全面外出禁止令を終えた5月31日には279名(総数851名の33%)を占めました。その後もクウェート人新規感染者数・割合は上昇し,6月20日付発表では268名(総数467名の57.4%),6月19日付発表では313名(総数604名の51.82%)を占めました。17日の発表から,それまで保健省が発表してきた新規感染者数上位4カ国(クウェート・インド・エジプト・バングラデシュ)の国籍別の発表を中止し,クウェート人・非クウェート人と発表されるようになっています。
クウェート人の人口1,335,712人とされていますで,累積感染者数10,617名は,クウェート人口の0.79%を占めます。
2.クウェート人感染者が増加している原因
(1)クウェート人新規感染者数・割合が上昇している原因については,不十分な外出自粛・人的交流が主な原因とされています。保健省報道官は,6月14日の同省定例会見において,クウェート人の新規感染者数増加の原因は,予防措置がきちんと行われていないためであると説明し,親戚や友人との集まりに参加しないことが必要である旨述べました。
(2)また,6月16日に開催された国会本会議に出席したサバーハ・ハーリド首相は,保健省の指示に従っていないことが,クウェート人新規感染者数増加の原因となっている旨述べるとともに,クウェート政府は,クウェート人の新規感染者数が増加していることを懸念しており,クウェートはまだ安心できる状況にない旨を述べました。
(3)また,当地各紙は,外国人労働者が多く居住する地区,特に封鎖を実施している地区における新規感染者数が減少傾向にある一方,クウェート人が多く居住する地区の新規感染者数が上昇傾向にある点を指摘しつつ,一部のクウェート人家庭では親族や友人との交流を行っていることがクウェート人感染者数増加の原因となっている旨を報じています。
(4)クウェート人の約8割が公務員で,保健省や電力水省など必要不可欠な分野を担当する者以外は本来自宅待機を続けているはずです。また,週に1回しか許可されない買い物も使用人が行うことが多く,クウェート人はほとんど感染機会が少ないはずですが,5月22日付当地アラビア語紙アンバーは,スーパー等訪問予約者の約40%が実際には訪問せずに友人を訪ねたり,ディワニヤに行ったりと息抜きをしている旨報じており,外出自粛が不十分であることが看取されます。
3.感染者数・死亡者数の発表
(1)5月10日から3週間の全面外出禁止令の一定の効果とみられますが,5月31日から回復者数が新規感染者数を上回るようになり,治療中の患者数は漸減してきています(6月20日付発表では8,100名)。一方で,6月11日頃から新規感染者数概ね550名前後で推移しており,下げ止まり感が窺えます。(一日最多の新規感染者数:1,073人,5月19日)
(2)また,PCR陽性率は,1日あたりのPCR実施件数が発表され始めた5月30日から20%前後で横ばいを続けています。
(3)死亡者の国籍・年齢は,累積死亡者数が38名に達した5月3日以降発表されておらず詳細は不明です。
4.クウェートの感染状況(20日付)
累計感染者数:39,145人(前日比:467人)
現感染者数:8,100人(前日比:−75人)
重症者数(ICU):180人(前日比:−13人)
累計死者数:319人(前日比:+6人)
累計回復者数:30,726人(前日比:+536人)
5.クウェート政府は繰り返し,保健省の健康ガイドライン(外出の自粛等)に従うこと,特にソーシャル・ディスタンスの確保,集会を行わないことを繰り返し述べています。在留邦人の皆様方におかれましては,引き続き「3つの密(密閉空間,密集場所,密接場面)」を避け,外出時にはマスクを着用(公共の場所でのマスク着用は義務づけられています)し,うがい手洗いをこまめに行うなどの一般的な感染予防対策を行うなど,感染予防(うつらない・うつさない)には細心の注意を払って下さい。
●現在,当館の領事業務は,事前予約制で行っております。各種申請(旅券,証明書等)をご希望される方は,来館前に大使館領事班までメール(consular@kw.mofa.go.jp)でお問合せ下さい。
●通院、常時服用薬の入手などでお困りの方,健康上の問題で困っている方やその他ご質問等ある方は,当館檀上医務官(9972−6597)にご相談下さい。特に,発熱(37.5℃以上の体温)や咳・痰等の呼吸器に関する症状や新型コロナウイルス感染が懸念される場合には,保健省ホットライン(151)や医療機関で受診する前に,ご相談下さい。医務官から適切な助言を行います。
(お問い合わせ先)
在クウェート日本国大使館 領事班
電話(代表):(+965)2530−9400
メール:consular@kw.mofa.go.jp (了)