医療情報(パキスタンで知っておくと得する医療知識と対応策(市販薬編))

【ポイント】

 今回は長期滞在者の知恵袋(市販薬編)として、以下の項目に分けてご案内しております。

1 当地の医薬品事情:「市販薬」や「処方薬」がどちらも手に入る

2 日本の「市販薬」に相当する当地の薬〔商品名(一般名)〕

【本文】

1 当地の医薬品事情:「市販薬」や「処方薬」がどちらも手に入る

(よくある体験談)

・病院にかかる程ではないけれど、薬局でどの薬を買っていいのかわからない。

・ここに嫁いで、パキスタン人の一般家庭にも常備薬があることが判明。

(医療知識)

・日本では、市販薬(ドラッグストアなどで購入可能な薬)と処方薬(医師の処方箋が必要な薬)が厳格に区別されているが、当地ではそのような区別はないため、どちらも手に入る。

・当地では1錠単位で薬が販売されており、希望する量だけ購入することが可能。その結果、取扱説明書(添付文書)はついてこない。

・薬には商品名と一般名(有効成分名)があり、一般名で調べると、日本と同様の薬が探しやすい。日本から持参した医薬品の一般名にも目を向ける癖をつけよう。

・薬剤の品質管理においては、薬局の室内空調整備状態が良ければある程度信頼できるが、偽薬の流通も多くあるので要注意。

(長期滞在者の知恵袋)

・日本で常備していた市販薬は、可能な限り日本から持参する。念のため薬の英文名も確認しておく。

2 日本の「市販薬」に相当する当地の薬〔商品名(一般名)〕

・応急処置としての服薬を念頭に、用量・用法や注意すべき副作用について以下に記載します。実用性を意識して、英語表記に慣れていただくことをおすすめします。次回は「処方薬」を紹介します。

 注:3日以上経過しても症状が改善しない場合は、医療機関への受診を。

 注:用法・用量は取扱説明書をよく読んで、それを守りましょう。

 注:市販薬にも、副作用あり。1週間以上の長期服薬は避ける。

 注:妊娠中は医療機関へ受診し、医師の指示の下、服薬加療を。

<発熱>

○Panadol(acetaminophen/paracetamol):解熱鎮痛剤;風邪や胃腸炎など

→小児用(シロップ)もあり。小児用は取扱説明書を参照。

・用法・用量(成人):1回10mg/kg(50kgの人は500mg/回)を目安に食後に服薬。約6時間以上あけて追加内服可、最大1500mg/日まで。当地では500mg錠が主流。子供の誤飲に注意。

・副作用:長期服薬で重篤な肝機能障害を来す。

<風邪>

○Calpol(acetaminophen/paracetamol など):小児用の総合感冒薬(複数の薬をブレンド)

→子供の年齢に合わせて数種類あり。Acetaminophenのみのシロップ&錠剤もあり。

・副作用:長期服薬で重篤な肝機能障害を来す。

○Cofcol:成人用の総合感冒薬(複数の薬をブレンド)

→高容量の解熱鎮痛剤や咳止めが含まれるため、日本人には不適。

○Day Nurse:成人用の総合感冒薬(複数の薬をブレンド)

→高容量の咳止めが含まれるため、日本人には不適。

○Joshanda:パキスタン漢方薬;風邪や大気汚染で喉がいがいがするときに

→各種メーカーあり。Qarshi社のJohar Joshandaは無糖・はちみつ・チョコレート味があり。

○Strepsils:のど飴;喉の痛みに

→オレンジ味・蜂蜜レモン味・ミント味から選べる。1日12個まで。

○Solophar oral spray(Dequalinium Chloride & Benzalkonium Chloride):喉の痛みに、スプレータイプ。

○Vicks Vaporub:塗り薬;鼻詰まりで息が苦しいときやくしゃみにも

→のど飴もあるがのど飴は高価。

・用法・用量:2歳児から使用可。胸やのどに適量を塗る。水に少量混ぜて鍋で沸かし、スチーム吸入として利用も可。ただし、火傷に注意。

<頭痛や生理痛に>

○Brufen(ibuprofen):鎮痛剤;頭痛や生理痛など

→小児用(シロップ)は「処方薬」扱いとし、医師の指示に従うこと。

・用法・用量(成人):1回200mg、1日3回まで。当地では400mg錠が主流のため半錠を食後に服薬する。

・副作用:小児ではウイルス性疾患時に投薬すると脳症を起こす可能性あり(ライ症候群)。長期服薬で腎機能・消化管障害を来す。妊娠後期は禁忌。喘息誘発のリスクあり。

○Disprin Original(aspirin300mg):成人用の鎮痛剤;頭痛や生理痛など

・用法・用量:同じアスピリンでも100mgや500mgは「処方薬」扱い。

・副作用:小児ではウイルス性疾患時に投薬すると脳症を起こす可能性あり(ライ症候群)。長期服薬で腎機能・消化管障害を来す。妊娠後期は禁忌。喘息誘発のリスクあり。

<下痢(脱水症)>

○Ecotec(各種腸内細菌):小学生以上(カプセルを誤飲しない年齢から)に対する整腸剤

・用法・用量:子供は1回1錠を2-3回/日(1日最大3錠まで)、15歳以上では1回2錠を2-3回/日(1日最大6錠まで)。服薬のタイミングは食前や食間でも構わない。

・副作用:特になし。むしろ、下痢が落ち着くまでは飲み続けた方がよい。

○Globolyte Zinc:経口補水液(ORS);下痢や熱中症対策に

・液体タイプ。オレンジ味がある。

OEM経口補水液(ORS);下痢や熱中症対策に

・多少薄めでもOK。バナナ味とオレンジ味がある。

○Peditral:経口補水液(ORS);下痢や熱中症対策に

・多少薄めでもOK。レモン味とオレンジ味がある。

<子供の食欲がない時>

○VIDAYLIN:小児用総合ビタミン剤シロップ&錠剤;食欲低下時の栄養補助剤として

<コンタクトレンズ>

○re’ nu:コンタクトレンズ洗浄液。眼鏡屋や薬局にて購入可。

コンタクトレンズは眼鏡屋か眼科にて購入可。Rs.3500以上を目安に、安価な物は避ける。

<ものもらい>

○Polyfax Eye Ointment (ピンク色):抗菌薬入り眼軟膏。同じ名前で皮膚用(Skin Ointment)の軟膏あり(青と緑色)。間違えないように注意。

<口内炎>

○Somogel(Menthol & Ethanol&Lignocaine 他):チューブ入りのクリームタイプ。

<筋肉痛・腰痛>

○Deep Heat(Menthol & Methyl salicylate 他):スプレイタイプ、クリームタイプ、湿布タイプがあり。

○IODEX(Methyl Salicylate):瓶詰めのクリームタイプ。黒色をしており、衣類への着色の恐れあり。しっかり伸ばして塗ること。

<消毒薬>

○Dettol(chloroxylenol): ハンドサニタイザー(手の除菌や消毒)用や傷口の消毒用など、用途別にいろいろあり。