台湾安全情報(2020年中)

 2020年中の統計データ及び同年10月から12月までの間に発生した事案を基に作成した、台湾の安全情報を以下のとおりお知らせいたします。

1 社会・治安情勢

 一部の団体等による抗議活動が散発的に行われていますが、一般市民全般の対日感情が悪化しているとは言えません。

 また、台湾の治安が大きく悪化したという状況は認められず、治安情勢は比較的安定していると言えます。

2 犯罪の傾向

(1)主な犯罪の発生件数

 内政部警政署の発表によると、2020年中の刑法犯の発生件数は26万713件と、前年(2019年)と比較して、2.8%減少しています。2020年は統計上前年より治安の改善が見られますが、引き続き油断することなく、台湾が海外であることを忘れずに防犯意識を高めるように心掛けてください。

 また、主な犯罪の発生件数は以下のとおりですので、被害防止の参考としてください。

  刑法犯総数  26万  713件(前年比 2.8%減)

   うち殺人       233件(同 上22.3%減)

   うち強盗       154件(同 上19.8%減)

   うち強制性交     170件(同 上15.4%減)

   うち窃盗   3万7,042件(同 上12.4%減)

   うち詐欺   2万2,945件(同 上 3.0%減)

(2)邦人被害の事案

 ア 窃盗

 2020年10月、邦人が台湾人の男に預けていたバッグを盗まれた上に、バッグ内に入っていた財布に在中の銀行のキャッシュカードを利用し、口座から高額な現金を引き落とされたという被害を把握しています。この男は、邦人が裕福であることを分かった上で流暢な日本語で同人に話しかけ、しばらくの間親身に接することによって同人の信頼を得た上、キャッシュカードの暗証番号を聞き出した状況がうかがわれます。邦人に対して親切な人が多い台湾であっても、見知らぬ人を安易に信用することなく、現金、預貯金口座等の財産管理には十分に留意してください。

 また、日本への帰国や海外旅行ができないことから台湾内を旅行される方も多いと思いますが、台北市内の国立故宮博物院、忠烈祠、中正紀念堂龍山寺永康街台北101、世界貿易センター、西門町、士林夜市、饒河夜市及び寧夏夜市、新北市内の九フン(「にんべん」に「分」)、高雄市内の蓮池潭、六合夜市及び瑞豐夜市並びに鼎泰豐の店舗等の各種観光地をはじめ、空港や駅等では貴重品の管理には引き続き留意してください。

 イ 旅券の紛失

 盗難又は遺失の判断がつかないものの、邦人が旅券を紛失する事案が後を絶ちません。日本台湾交流協会が把握している旅券の紛失事例を見ると、以下のような特徴が挙げられます。

 ○ 九フンや夜市等の大勢の観光客で混み合う観光地において旅券を紛失する。

 ○ 乗車したタクシーや公共交通機関に旅券が入ったバッグを置き忘れる。

 ○ 空港での両替時に本人確認のために旅券を提示し、そのまま置き忘れる。

 ○ 泥酔するまで酒を飲んだ後に路上で寝込み、旅券入りのバッグを紛失する。

 ○ ナイトクラブに入場する前に旅券を提示し、店内で酔っ払って紛失する。

 ○ 部屋の片付けや引っ越しの際に、旅券を誤って捨てたり、落としたりする。

 上記に見られるように、旅券の紛失は所持者本人の不注意によるものが大半を占めます。旅券を紛失した場合、台湾当局への届出に加え、どうしても急ぎ帰国の必要がある場合には、渡航書等の申請が必要となります。そのためには、戸籍謄本等の入手が必要となるなど、申請手続には多くの時間と労力を要します。また、日本の旅券は国際的な信用度が高く、紛失した旅券は偽変造され、不法な出入国等の犯罪や国際テロを助長するおそれがあります。皆様の知人、会社の出張者等が台湾を訪れた際には、上記の事例を参照しつつ、滞在中の旅券の管理に十分に留意するよう注意を促してください。

 ウ 台湾入境時の外貨申告

 2020年12月、邦人が台湾に入境する際に高額な現金(日本円)を持参していたにもかかわらず、税関のカウンターで申告を行わなかったことから、税関職員に同現金を没収されたという事案を把握しています。台湾では、マネー・ローンダリング防止対策のため、入境時に総額1万米ドル超相当額の外貨現金(日本円を含む)を所持・携帯している場合には、税関に申告する必要があります。申告すべき現金を持参している方は、「海關申報單」を記入した上で「應申報台」(赤色カウンター)で忘れずに申告するようにしてください。

3 交通事故の傾向

(1)主な統計

 内政部警政署の発表によると、2020年中の交通事故の発生件数は33万9,997件と、前年と比較して0.6%減少しています。2020年は前年より交通情勢の改善が見られますが、死者数は増加しています。2020年も前述の刑法犯の発生件数よりも交通事故の発生件数が多かったことに留意していただき、引き続き交通事故に遭わないように十分に注意してください。

 なお、交通事故に関する主な統計は、以下のとおりです。

  発生件数 33万9,997件(前年比0.6%減)

  死者数     1,852人(同 上0.2%増)

  負傷者数 45万1,155人(同 上1.1%減)

(2)邦人被害の事案

 日本台湾交流協会では、2020年10月から12月の間に邦人が交通事故に遭って死亡したり、重傷を負ったりするなどの事案を把握していませんが、運転時及び歩行時ともに、交通事故に遭わないように引き続き注意するようにしてください。

4 テロ・爆弾事件の発生状況

 報告されていません。

5 邦人に関する誘拐・脅迫事件の発生状況

 2020年10月、親族間の金銭トラブルを端緒とした邦人の脅迫被害事案を把握していますが、組織的な誘拐・脅迫事件は把握していません。

 

6 日本企業の安全に関する諸問題

 報告されていません。

7 海外旅行保険への加入の勧め

 台湾を訪れた邦人(特に高齢者)が滞在中に体調を崩して病院に入院し、高額な医療費(例:手術を伴う1か月程度の入院で約500万円)を支払うことになった事案が見受けられます。また、邦人が自身の体調不良に対し医療費がかさむことを心配して病院の受診をためらっていたところ、病状が悪化し、救急搬送されて入院したという事案(1か月余りの入院費・治療費は約350万円)を把握しています。

 このような場合、海外旅行保険に加入していれば、病気の際の医療費、移送費等が補償されるほか、保険会社や契約内容によっては、家族の渡航費や台湾において日本語通訳の手配サービスを受けることも可能となります。皆様の知人、会社の出張者等が台湾を訪れる際には、犯罪被害、交通事故、突然の体調不良等に備え、可能な限り充実した海外旅行保険に加入するように勧めてください。

8 台湾当局による新型コロナウイルス感染症への各種対策

 2020年12月にニュージーランド籍のパイロットに関連した本土感染事案の確認の後、英国や南アフリカの変異種の流入桃園市内の病院におけるクラスター事案等、台湾においても新型コロナウイルス感染症の感染拡大への警戒心が急激に広まっています。また、2021年1月1日より、台湾の水際措置が強化されており、日本人を含む外国籍者については、居留証所持者、外交公務、ビジネス契約履行、人道的案件、台湾籍者の配偶者及び未成年の子女、その他特別な許可を得た者以外は入境できないこととなっています。さらに、1月15日より、外国人が台湾に入境する際には、搭乗日3日以内のPCR検査陰性報告の添付を必要とするほか、14日間の在宅検疫を行う居所に関する証明を提供する必要があります。

 新型コロナウイルス感染症に関する台湾当局の各種措置は、感染状況等に応じて変化し得ることから、当協会のHP(https://www.koryu.or.jp/tabid2169.html)のほか、衛生福利部疾病管制署のHP(https://www.cdc.gov.tw/)を参照し、最新かつ正確な情報の収集に努めてください。

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  台北市松山區慶城街28號 通泰商業大樓

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