新型コロナウイルス感染のルーマニアにおける現状等について(その45)

ルーマニアは、警戒事態に入っています。5月14日深夜に発出の警戒事態宣言により15日に開始されたのに続き、18日には先に成立の関係の法律が発効し、同日、その下で新たな決定が発出されて、これにより18日から30日間について改めて警戒事態が発令されました。

警戒事態の下での規制等には、14日以前の緊急事態の下での措置から若干の緩和も見られますが、同時にマスクの一定の着用を含めて新たに規定された義務等もあり、また、罰則の運用とも併せて、生活及び経済・社会活動の広い面にわたって厳しい規制が続く点では、大きな変化はありません。引き続き、感染拡大の抑制、違反の回避の両面で御注意下さい。

●また、警戒事態の決定の下での各担当閣僚レベルでの命令(関係閣僚と保健大臣との合同令)が二件発出されました(保健大臣以外には、それぞれ運輸インフラ通信大臣及び労働大臣によるもの。)。

主な内容を,本文でお伝えします。

ルーマニアでは,5月18日13時までに,感染者累積17,036名,死亡者合計1,107名が確認されています。前日同時刻からの増加は,感染者数が165名,死亡者が10名。

●治安情勢等の変化の可能性等にも引き続き十分御注意下さい。

●上記の他,当大使館からお知らせする内容を含めて,関係の措置や情報が頻繁に更新されています。最新の状況の把握に引き続きお努めいただきますよう,お願いします。

1.運輸インフラ通信大臣と保健大臣とによる合同令の中で、私どもに関係大と思われる点を、簡略化しつつ、以下でお伝えします。

なお、全文については,以下のリンク先をご確認ください。

ORDIN 984 15/05/2020 - Portal Legislativ

以下、各分野ごとに、警戒事態期間中に新型コロナウイルスの拡散を防ぐために実施される措置と規則

(1)航空輸送

ア オンライン・チェックインを勧める。

イ 機内では、乗客を家族毎にグループとし,グループ間の距離を最大限空ける。

ウ 機内のみならず、移動の間も、マスク着用を義務付ける。

エ 機内には、手荷物一個のみの携行を許可する。

オ 機内で症状があることが確認された場合には、一定の定められた手続きを適用する。

カ 航空会社及び代理店は、混雑を避けるため、乗客に対し,予定離陸時刻の三時間前に空港に到着するよう通知する。

キ 検温の手続き及び旅行のための健康状態を満たしていない人の管理は,法令に基づく国の機関の責任となる。

ク チェックイン・カウンターは,離陸予定時刻の三時間前にオープンする。

(2)人の道路輸送

ア バス等

(ア)座席の最前列は空ける(運転士を隔離するため)。

(イ)乗車/降車の際,乗客は互いに最小の安全距離を守る。

(ウ)扉が二つ以上ある車両においては、乗車、降車を、それぞれ前方、後方のドアから行う。

(エ)ミニバスの場合には、上記の一般規則に従うとともに、着席者の輸送のみが許可される。

イ タクシー

(ア)乗客には後部座席のみを使用する。

(イ)乗客は、乗車時から降車までの間、マスクを着用する。

(ウ)電子的支払いを主とする。

(3)鉄道及び地下鉄

ア 鉄道

(ア)乗客は、乗車時から下車までの間,マスクを着用する。

(イ)オンライン・チケット販売が望ましい。乗車券も電子チケットを優先して使用する。

(ウ)乗車及び下車の乗客の動きは区別され,表示される(駅の入口からプラットフォームまで、仕切りの設置又は表示の貼付けにより、表示する。)。

(エ)乗車券又は購入済み電子証明を提示する人だけが,プラットフォームに入れる。 乗車の際に介助が必要な人がいる場合には,これにいかなる介助を提供するかを決定する鉄道事業者の代表者に通知する。

イ メトロレックス(地下鉄)

(ア)乗客は、駅への入構時,待機中,乗車中,いずれもマスクを着用する。

(イ)立った状態と着席との両態様での乗客の輸送が許可されている場所には,乗客間の最小距離を保つよう,乗客の立ち位置に緑色の標識を付す。

2.もう一件の、労働大臣と保健大臣との合同令の中で、私どもに関係が大きいと思われる点を、簡略化しつつ、以下でお伝えします。

なお、全文については,以下のリンク先をご確認ください。

http://legislatie.just.ro/Public/DetaliiDocument/225838

また、この合同令については、以下の点以外にも御参考となり得る点がありますので、当大使館で作成の邦訳も,以下に掲載しました。

https://www.ro.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00098.html

警戒事態期間中、新型コロナウイルス感染防止のために、官民共全ての雇用者は、以下の措置をとる。

(1)テレワーク,在宅勤務を優先とする,新型コロナウイルス感染抑制のために最大限の措置を講ずる。

(2)安全保健管理責任者,場合により労働安全健康委員会と、協議を行う。

(3)入口と従業員や来訪者の最も目につく場所とに、感染症予防措置義務を掲示する。

(4)従業員に対し、電子的手段を用いて、職場における社会的距離に関する規則等の予防措置や,従業員や来訪者に感染が発生した場合の規則について,周知する。

(5)人との接触は,15分間以内,1.5mの距離を置いて、行わしめる。

(6)自社の建物内に入って来る外部からの業者,下請け企業等関係者等に,自社の予防措置を遵守させる。

(7)同じ勤務空間で作業する従業員が50人を越える職場においては,通常の就業時間自体に変更を与えないようにしつつ,少なくとも二割ずつの従業員同士の出退勤時刻が、一時間ずつ,合計少なくとも三時間ずれる勤務体制にする。

 この措置は,勤務空間を共有する複数の組織の間であっても、そこで作業する従業員が合計50人を越える場合には、適用される。

(8)職場の共同空間への立入りを制限し,そこでの社会的距離を遵守させる。

(9)職場への全ての入構者の体温を測定する責任者を指定する。

(10)始業時及び必要時に、従業員の体温測定を行う。

(11)職場の入口及び各部門ごとに、消毒液を設置する。

(12)一日一回,職場の換気を行う。

(13)手すり,ドアの取っ手,窓、その他よく使用される箇所を,消毒する(最低毎週一回以上)。

(14)職場の共同スペース及び作業場を,毎週一回以上消毒する。

(15)昼食休憩について、時間帯をずらし、また1.5mの社会的距離を尊重させる。

(16)空調機の使用を避ける。使用が必要な場合には,消毒と掃除を、メーカーの指示に従い,就業時間外に行う。

3.警戒事態は、5月14日深夜に発令の「新型コロナウイルス感染症予防と制御のための措置と全国的な警戒事態導入に関する決定第24号」(以下「決定第24号)により、15日から開始されました。

また、18日になって、先に成立の法律(「COVID−19感染症の予防とその影響との闘いのための2020年5月15日法律第55号」。以下「法律第55号」)が発効し、さらにその下で、決定第24号を置き換える新たな決定が発出されました。

 新たに発令された警戒事態期間は、18日からの30日間とされています。

(1)法律第55号の全文は,以下のサイトから確認できます。

http://legislatie.just.ro/Public/DetaliiDocument/225620

また、当大使館で作成の概ね全体の邦訳(これまでお伝えしたものよりも、罰則を中心にさらに詳細にしました。また、必要に応じ、多少の当大使館注釈を加えています。)を,以下に掲載しました。

https://www.ro.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00096.html

(2)この法律の下で同日(18日)新たに発出された決定により、警戒事態の期間が、18日からの30日間として改めて発令されました。

この新たな決定(現時点では、決定の番号について未確認です。)は、決定第24号に代わるものですが、法律第55号に沿って、前者(決定第24号)よりも大部なものとなっています。主要な事項についての大きな変更はもちろんないものと見られますが、詳細確認後に必要に応じて追ってお伝えします。とりあえずは、決定第24号の内容を念頭に置いて下さい。先般お伝えしました決定第24号のリンクを、当大使館による要点の邦訳と共に、再掲します。

決定第24号の全文(法務省のリンク)

http://legislatie.just.ro/Public/DetaliiDocument/225602

概ね全体の邦訳(当大使館作成)

https://www.ro.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00095.html

(3)なお、法律第55号と決定第24号との間で、類似の事項について双方が規制し、かつその規制内容に若干差違がある点があります(レストラン等における屋外テラスでの営業の可否等)。法律の下で、具体的な措置についてはこれらの決定(さらに上記1及び2のようなそれ以下の関係省(及び保健省)からの命令)に規定のある点については、それを念頭に置いた行動に努めて下さい(決定第24号とこれに代わる新たな決定との間にも、規制の詳細を変更した点があるようですが、これらについては追ってお伝えします。)。

他方、これらの命令に規定のない一般論(例えば、警戒事態の定義、関係行政組織間の関係、各種規制への違反とそれに対する罰則等。)については、法律第55号によることとなります。この中で、罰則の対象とその内容(罰金)を定めた法律第55号の第65条、第66条には、特に御注意下さい。

(4)警戒事態期間中に居住市町村外への外出のために所持しておくべき申立書えのリンクを、先般もお伝えしましたが、当大使館で作成の邦訳を付したものとともに、以下で再掲します。

https://media.hotnews.ro/media_server1/document-2020-05-15-23997303-0-declaratie-propria-raspundere-pentru-iesirea-din-localitate.pdf

https://www.ro.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00093.html

4.内務省傘下の戦略コミュニケーション・グループの発表によれば,5月18日13時時点でのルーマニア国内での新型コロナウイルス感染者は,累積17,036名,前日同時刻からの増加165名。また死亡者は,合計1,107名,前日からの増加10名です。感染者全体のうち,集中治療を受けている患者が193名,他方9,930名が治癒しました。

 また、この週末の間(15日の発表時点(同日13時)から今回の発表までの期間)の推移の合計は、感染者が599名、死亡者は51名の、増加でした。

以上の統計は,ルーマニア保健省国立公衆衛生研究所の以下のウェブサイトから最新情報が確認できます。

https://instnsp.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/5eced796595b4ee585bcdba03e30c127

5.(1)商用航空便につきまして,これまで緊急事態及びその下の関係の軍事令で運航停止が規定されてきた合計12か国(オーストリア,ベルギー,スイス,仏,独,イラン,伊,英,オランダ,スペイン,米,トルコ)との間では,警戒事態の下でも,運航停止措置が5月15日からも14日間延長されています(警戒事態宣言(決定第24号)の中では、その別添の措置10。)。

(2)日によっては,欧州内で二回以上の乗継ぎで帰国できる経路への接続はあることが見込まれますが,関連し得る点(乗継ぎの回数が多くなるのに伴い,預入れ荷物の一旦引取りやその際の乗継ぎ国への入国の必要性の発生の有無等も含む。)も含めて,頻繁,詳細に確認を行うことが適切と見られます。)。

(3)ブカレスト・オトペニ空港の本日の運航状況は,以下の同空港のウェブサイトから確認できます。

http://www.bucharestairports.ro/en/

(4)帰国される方は,日本入国時には,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,引き続きPCR検査,空港からの公共交通機関(国内便を含む。)の不使用,指定場所(自宅又は自ら確保した宿泊施設等)での14日間の待機等の措置の対象となりますので,これらにもご留意ください。

「水際対策の抜本的強化に関するQ&A」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou_00001.html

6.(1)陸路の国境地点の現状について、とりあえず決定第24号別添16による措置(従前の緊急事態の下の軍事令第8号第4条の下で示されていたものと同じ)を、ルーマニア国境警察のウェブサイトとともに、以下で掲載します。参考として下さい。

https://www.ro.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00092.html

https://www.politiadefrontiera.ro/ro/main/n-date-deschise-17/

(2)警戒事態の開始に伴って、ルーマニアへの入国者に増加が見られます(入国後の検疫施設での隔離措置が解除されたことが背景かと見られます。)。

特にハンガリーとの国境地点で、待ち時間が480分以上となっていることなどが報道されています。また,18日の国境警察の発表によれば,過去24時間に22,500人と10,200台の車両が国境を通過しました。

多数の入国自体のみならず、こうした混雑の状況の中で密集等の状況が発生していることも窺われます。かかる状況は今後も続くことも予想されることもあり、感染拡大や治安情勢(以下8)への影響の可能性を含めて、動向に御注意下さい。

7.上述もしましたが、警戒事態の下でも,法律第55号、新たな決定、各種大臣令等に従って,引き続き,規制を尊重した行動に心がけて下さい。

 継続してお伝えしてきました隔離措置、外出規制、またマスク着用義務等を含めて、今回は個別の措置には言及しません(警戒事態の下で規制自体がなくなったものもあり、例えば外出規制等については、本日は発表自体ありません。他方、新たな規制ではあるが政府の決定という高いレベルかつ包括的な命令に含めて明定されたもの(マスク)については、着用義務自体をここで個別に特記する必要は今後はないものと見られます。)。

しかし、冒頭にも述べましたように、厳しい規制が公私にわたり広い分野で課されている点は、これまでとほぼ同様です。感染拡大の抑制の必要性とともに、種々の規制を尊重する点においても、引き続き御注意をお願いします。

8.新型コロナウイルスの感染に起因する各種情勢の変化、また直近では、緊急事態から警戒事態への移行等にも伴って、治安情勢にも変化が生じているおそれがあります。これにも引き続き御注意下さい。

9.本件に関し,上記の諸点を含めまして,御照会事項がおありの場合には,末尾のお問い合わせ先に,電子メール等でご照会ください。

【参考情報】

1.ルーマニア保健省は,新型コロナウイルス相談専用無料電話回線(Telverde Line。番号0800800358)を設置しています。休日を含めて24時間受け付けています。

従来から運用している112番緊急電話サービスについては,感染の疑いがある場合や緊急事態電話への対応としている由です。

2.保健省を始めとするルーマニア政府当局は,当国における感染拡大防止の各種対策を上記以外にも実施しています。

各種の具体的な詳細については,以下のルーマニア内務省,外務省及び保健省の各ウェブサイトを御参照下さい。

ルーマニア内務省HP

https://www.mai.gov.ro/

ルーマニア外務省渡航情報

https://www.mae.ro/travel-alerts/

ルーマニア保健省HP(中央下にあるList zone afectate COVID-19で,入国後施設での隔離の対象となる国が確認できます。)

http://www.ms.ro/

3.(1)新型コロナウイルスの予防については,日本の厚生労働省は,以下の三点を奨励しています。

ア 人混みを避ける(飛沫感染の防止)

イ こまめに手洗いをする(石けんを使って30秒程度洗う)

ウ 咳エチケット(マスク,ティッシュ,袖の内側を使う。手を使った場合には,すぐに手を洗う。)

  換気を行うこともよいとされています。

(2)また,日本の新型コロナウイルス感染症対策本部によれば,これまでの集団感染発生の場の共通点から,特に以下の三つの条件が同時に重なる場(「三密」)では,感染を拡大させるリスクが高いと考えられる,としています。こうした局面を出来るだけ避けるように,御注意ください。

ア 密閉空間(換気の悪い密閉空間である)

イ 密集場所(多くの人が密集している)

ウ 密接場面(互いに手を伸ばせば届く距離での会話や発声が行われる)

4.その他,本件について参考となり得るリンク先は,以下のとおりです。

・外務省の海外安全情報(世界各国への渡航に関する参考情報)

https://www.anzen.mofa.go.jp/

厚生労働省の関連ウェブサイト

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q1

厚生労働省検疫所ウェブサイト

https://www.forth.go.jp/index.html

国立感染症研究所 ヒトに感染するコロナウイルスhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-2020-01-10-06-50-40/9303-coronavirus.html

・WHOの関連ウェブサイト

https://www.who.int/china

【問い合わせ先】

ルーマニア日本国大使館領事部

電話:+40-21-319-1890(大使館が閉館している時間は,業務委託先へ転送されます)

メール:consular@bu.mofa.go.jp

領事メールの受信希望の方は,以下のリンク先から手続きをお願いします。

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