当館医務官から南アの医療状況をとりまとめましたので、感染予防に努めてください。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が流行する中、南アの医療機関のキャパシティは皆さま最も気にされることかと思います。COVID-19 に関しては、公立病院、私立病院ともに対応しておりますが、民間保険(メディカルエイド)を有した方においては私立病院を利用しております。これは海外旅行保険や、現地のメディカルエイドに加入されている邦人の皆さまにおいても同様で、まず受診や入院が必要となった場合には私立病院を利用されることをおすすめします。基本的に邦人の皆さまが利用される各私立病院の情報については、大使館のHP に掲載されている「安全情報」の中の「医療情報」をご参照下さい。公開されている病床数は,こちらより把握できます。
(https://www.za.embjapan.go.jp/files/000445056.pdf)
COVID-19 に特化した各病院の病床数や入院患者の数に関しては、公立・私立病院ともに残念ながら情報の多くは非公開です。報道によりますと、Netcare に関しては、人工呼吸器の購入を含むCOVID-19 対策費用として1 億5000万ランド投じると発表しております。
【検査の受け方について】
PCR 検査の対象は症状の有無に加え,感染国への渡航歴・感染者との接触歴の有無によって決められます(今後変更になる可能性はあります)。まずは,かかりつけ医やお近くの開業医に電話で問い合わせてください。かかりつけ医によっては,自ら診療所で検体採取を行っている場合もありますが,多くは民間の検査機関(Lancet,Ampth,PathCare等)に直接行くことを指示されます。かかりつけ医・近隣の開業医が不在の場合には,NICD の24 時間ホットライン(082−883−9920)にお問い合わせください。前述の大使館HP の「医療情報」に掲載されている医療機関でも対応しておりますが,Netcare では検査のみの対応は行っておりませんのでご注意ください。軽症者は,結果が通知されるまでの間,自己隔離となります。公立病院でも検査は行って
いますが,事前に電話で確認することをおすすめします。
【陽性結果が出た場合の対応】
検査結果は直接検査施設より連絡があった場合,必ず検査を指示した医師と共有してください。その上で医師に必要な措置を講じてもらう必要があります。現在南アでは,軽症者でかつ住居環境に問題がなければ,14 日間の自宅隔離の方針としております。隔離中に症状が悪化した場合はすぐに医師に連絡を取れる体制を取ってください。
【国内全体の状況】
1.総病床数:国全体で見た場合、南ア国内の総病床数は102,229 床でその内の3 割(31,312床)を私立病院が有しています。国民の84%が無保険であり、公立病院を利用する一方で、この3 割の私立病院病床数をわずか16%の有保険者が利用していることになります。無保険者の人口10 万人あたりの公立の病床数は154.14 床である一方で、有保険者の人口10 万人あたりの私立の病床数は357.30 床と明らかな差があります。
2.ICU:SAMJ(South African Medical Journal)に掲載されたNaidoo K らの報告(Critical analysis of ICU/HC beds in South Africa: 2008-2009) によりますと、全国のICU 病床は4,719 床であり、人口10 万人に対する病床数は約9.8 床と先進国と比較しても遜色ありません。(日本集中治療学会によると日本は5 床以下)しかしこれもやはり私立病院と公立病院の不均衡があり、75%(3,533 床)を私立病院が、25%(1,186 床)を公立が所有しております。また地域による偏在性も大きく、このうち49%(2311 床)がハウテン州、15%(719 床)が西ケープ州、14%(672 床)がクワズール・ナタール州にあり、全国の人口58%を占めるこの3 つの州で全体の78%のICU を所有していることになります。
3.人工呼吸器:人工呼吸器の台数に関しての公式な統計はなく、報道ベースでは全国で4000 台を所有しており、私立と公立がそれぞれ50%をシェアしています。H22 年の日本呼吸療法医学会の調査では全国で24450 台,人口10 万人あたりの所有台数は19.7 台とありますので,人工呼吸器の不足に関しては否めません。現在南アでは他国と同様に人工呼吸器の確保に努めているとの報道も散見されます。
上記の通り、国全体で見た場合には色々と課題が多いのは事実ですが、一方で邦人の皆さまの多くが居住されている、ハウテン州、西ケープ州、クワズール・ナタール州の私立病院においては他地域と比べ医療施設、そしてその設備は充実していると言えます。
今後医療崩壊が起こりうる要因としては、まずは感染者が急激に増加することによってその病床数が不足することが挙げられます。また院内感染が増えることによって、医療施設がやむなく閉鎖するに至ったり、患者数を制限したりする事態が起きることかと思います。現在南アでは、軽症者は基本的に入院ではなく自宅での自己隔離をすることになっております。これは重傷者のケアにより重点を置き、また病床数の不足を防ぐことが目的です。事態が深刻になるのは、今後公立病院の病床数が不足し、それを私立病院がカバーせざるを得ない状況になった時かと思われます。そのため現在のロックダウンでいかに感染者数を抑え、流行のスピードを抑えるかが肝要であり、(現時点においてはそのような兆候はありませんが)感染者
数を抑えられない場合、南アも他の先進国と同様に様々な問題が生じてくることが懸念されます。
【南アの情報ツール】
一般的なCOVID-19 の情報はWhat’s App サポートライン(0600123456)で簡便に入手することができます。これに加え,下記のサイトでは日々の感染者数の更新や南ア政府の感染対策に関する情報も入手できます。
・NICD(国立感染症研究所)
・COVID-19 Corona Virus South African Resource
https://sacoronavirus.co.za/__
参考:外務省海外安全HP
参考:当館HP 新型コロナウイルス関連情報
https://www.za.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
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●在南アフリカ日本国大使館
HP: http://www.za.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
住所: 259 Baines St, Cnr Frans Oerder St, Groenkloof, Pretoria
電話: +27 12 452 1500 領事・警備
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