【ポイント】
●ラジャスタン州ジャイプール市で確認された,ジカウイルスへの感染例は,最新の報道によれば,135名に達しました。
●妊娠中にジカウイルス感染症に感染すると,胎児に小頭症等の先天性障害を来すおそれがあります。発生地域は,ジャイプール市の観光名所が集中する同市中心部も含まれていますので,特に妊娠中又は妊娠予定の方は,ジャイプール市への移動・旅行を可能な限りお控えください。
【本文】
1 ジカウィルス感染の発生
(1)インド保健省は,10月8日,ジャイプール市においてジカウィルスの感染例が22件報告されたと発表しましたが,その後,最新の報道によれば,感染例は135名に達しています。
(2)妊娠中にジカウイルス感染症に感染すると,胎児に小頭症等の先天性障害を来すおそれがありますので,特に妊娠中又は妊娠予定の方は,ジャイプール市への移動・旅行を可能な限りお控えください。やむを得ず現地に滞在する場合には,主治医と相談の上で,厳重な防蚊対策に努めてください。
(3)なお,これまでに確認された感染例はジャイプール市内にとどまっていますが,他地域へ広がる可能性も排除されないことから,ジャイプール市のみならず,近隣地域へ渡航を予定されている方は,地域的な広がりを含め,最新の情報を入手するなど,引き続き注意してください。
(4)外務省からも,広域情報「ジカウィルス感染症に関する注意喚起」が発出されていますので,併せて,下記もご参照ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2018C043.html
2 ジカウイルス感染症について
(1)感染経路
ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカ(注:デング熱を媒介する蚊と同じ)に刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと,蚊の体内でウイルスが増殖し,その蚊に他の人が刺されると感染する可能性があります。また,母胎から胎児への感染,輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。
(2)症状
ジカウイルスに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2〜12日であり,主に2〜7日で,およそ2割の人に発症すると言われています。発症すると軽度の発熱,発疹,結膜炎,関節痛,筋肉痛,倦怠感,頭痛等の症状を呈しますが,一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
(3)治療方法
現在,ジカウイルス感染症には有効やワクチンや特異的な治療法はなく,対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が発生している地域で蚊に刺された後に,発熱が続く,発疹が出るなど,ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には,医療機関を受診してください。
(4)予防
ジカウイルス感染症には有効なワクチンはなく,蚊に刺されないようにすることが最善の予防方法です。発生地域への旅行を予定されている方は,以下の点に十分注意の上,感染予防に努めてください。また,症状の有無にかかわらず,帰国後少なくとも2週間程度は昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を使用し,蚊に刺されないための対策を行ってください。
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし,肌の露出した部分や衣服に昆虫忌避剤を2〜3時間おきに塗布する。昆虫忌避剤は,ディート(DEET)やイカリジン等の有効成分のうちの1つを含むものを,商品毎の用法・用量や使用上の注意を守って適切に使用する。一般的に,有効成分の濃度が高いほど,蚊の吸血に対する効果が長く持続すると言われている。
●室内においても,電気蚊取り器,蚊取り線香や殺虫剤,蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠,栄養をとることで抵抗力をつける。
●軽度の発熱や頭痛、関節痛や結膜炎,発疹等が現れた場合には,ジカウイルス感染症を疑って,直ちに専門医師の診断を受ける。
●蚊の繁殖を防ぐために,タイヤ,バケツ,おもちゃ,ペットの餌皿等を屋外に放置しない,植木の水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
(参考情報)
○感染症危険情報(外務省海外安全ホームページ)
https://www.anzen.mofa.go.jp/masters/kansen_risk.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/zika.html
○米疾病管理予防センター(CDC)(英文)
http://www.cdc.gov/zika/index.html
○世界保健機関(WHO)(英文)
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/en/
(問い合わせ窓口)
○在インド日本国大使館
電話: (91) -11-4610-4610
メール:jpemb-cons@nd.mofa.go.jp