●1月9日,ナイジェリア疾病管理センターあてに,アブジャ市内の私立医療施設から,ボツリヌス症の疑い例2例が発生しているとの報告があり,現在までに1名死亡,2名治療中です。
●日本での発生例は,かつては散発的にあったものの,近年ではほとんど起こっていません。
●真空パックや缶詰食品の保存状態が悪い場合に発生することがありますので,膨らんでいるような形状の古い缶詰や真空パックの食品は避けた方が良いでしょう。ただ,毒素は数分の加熱で失活しますので,食品はできるだけ加熱をこころがけてください。
1.ボツリヌス症発生の経過
(1)1月9日,ナイジェリア疾病管理センター(Nigeria Centre for Disease Control. NCDC)あてに,アブジャ市内の私立医療施設から,ボツリヌス症の疑い例2例が発生しているとの報告がありました。
(2)同センターによれば,1月7日に,同じ食事を摂った6人家族(夫婦2人とその子供4人)のうち夫婦(男性49歳,女性47歳)とその娘1人(14歳)にボツリヌス症と思われる症状が発生しました。 母親は8日に死亡し,父親と娘は現在治療中です。診断はまだ確定していませんが,症状は「ボツリヌス症に典型的なもの」だとのことです。
2.ボツリヌス症について
(1)感染経路・症状・治療
ボツリヌス症はボツリヌス菌による経口感染症です。ボツリヌス菌は神経毒で,筋弛緩(全身麻痺)をおこし,呼吸筋麻痺により死亡する場合があります。重症例では人工呼吸器装着による全身管理が必要になります。ボツリヌス抗毒素は治癒を速めることができます。ボツリヌス菌は世界中の土壌に広く存在する細菌ですが,嫌気性菌(空気に触れると死んでしまう)のため,通常ヒトへの感染は起こしません。まれに汚染食品による集中発生が生じますが,周囲に感染が拡がる病気ではありません。
(2)日本での発生例
日本での発生例は,かつては東北の「いずし」によるものが多かったのですが,その他には,1969年の輸入瓶詰キャビアによる23名(※うち死亡3名),1984年の真空パックのカラシレンコンによる36名(※うち死亡11名),1998年の輸入オリーブ瓶詰による11名,1999年の真空パックのハヤシライスソースによる1名などがあります。ただ,近年の発生例はほとんどありません。
(3)予防対策
上記(2)のとおり,真空パックや缶詰食品の保存状態が悪い場合に発生することがあります。今回のアブジャでの発生例での原因食物が何かはまだ判明していませんが,膨らんでいるような形状の日付の古い缶詰や真空パックの食品などは避けた方が良いでしょう。ただ,毒素は数分の加熱で失活しますので,食品はできるだけ加熱をこころがけてください。
3.
海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet)
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903
(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367
○外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/(PC版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html(スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(モバイル版)
(現地在外公館連絡先)
○在ナイジェリア日本国大使館
電話:090-6000-9019/9099
国外からは(国番号234)90-6000-9019/9099
ホームページ:http://www.ng.emb-japan.go.jp/j/
世界の医療事情:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/africa/nigeria.html
(了)