【要点】
デング熱が流行しています。蚊に刺されないよう予防措置をとるとともに、万が一発症した場合には、早期に医療機関を受診して下さい。
【本文】
フィジーにお住まいの皆様及び旅行者の皆様へ
在フィジー日本大使館
1 5月1日、デング熱に関し4,646件の検体検査が実施され,913件がデング熱と確認されると共に,1件の死亡事例が発生したと、ディヴィス保健・医療サービス次官が発表しました。
2 デング熱は通常、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛などの症状が見られますが、デング熱患者の一部は重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあります。デング熱等の蚊が媒介する感染症については、蚊に刺されないよう予防措置をとるとともに、万が一発症した場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにして下さい。
3 デング熱について
(1)感染源
デング熱はデングウイルス(フラビウイルス属で1〜4型まである)を持つ蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等)に刺されることで感染します。感染は必ず蚊が媒介し、人から人への直接感染はありません。一度かかると免疫ができますが、異なった型のデングウイルスに感染した場合は再発症します。デング熱を媒介する蚊の活動時間は、マラリアを媒介するハマダラカと異なり、夜明け少し前から日暮れまでの間(特に朝と夕方)です。ただし室内にいる蚊は、夜間でも刺すことがあるので注意する必要があります。
(2)症状
デングウイルスを保有した蚊に刺されて感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は、通常3〜7日です。症状は、急激な発熱(38〜40度)に始まり、頭痛(一般的に目の奥(眼窩)の痛み)、関節痛、筋肉痛、倦怠感を伴います。発熱は3〜5日間継続し、解熱とともに痒みを伴ったハシカ様の発疹が、熱の下がる頃に胸部や四肢に広がることがあります。また、食欲不振、全身倦怠感は1〜2週間続き、血小板が減少した例では、鼻出血、歯肉からの出血、生理出血の過多を見ることもあります。通常、これらのデング熱の症状は1〜2週間で快復し、後遺症を伴うことはほとんどありません。デングウイルスに感染しても症状の出現しない例(不顕性感染)も多いようですが、その頻度については不明です。
(3)治療方法
デング熱には特効薬がなく、一般に対症療法が行われます。特別な治療を行わなくても重症に至らない場合が多く、死亡率は1パーセント以下であると言われています。ただし、時折デング出血熱という重篤な病気に至ることがあります。デング出血熱は、口や鼻等の粘膜からの出血を伴い、死亡率の低いデング熱と異なり、通常でも10パーセント前後、適切な手当てがなされない場合には、40〜50パーセントが死亡すると言われています。デング出血熱は発熱して2〜7日後に発症することが多いようですが、デング熱にかかった人がデング出血熱になるかどうかは事前に予測ができません(大人よりも小児に多発する傾向があります)。発熱が3日以上続いた場合は、医療機関への受診をお勧めします。また、デング熱感染が疑われる場合には、鎮痛解熱剤にはアセトアミノフェンを使用し、アスピリン系の使用は避けてください。
(4)予防方法
デング熱には予防接種も予防薬もなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。デング熱発生地域に旅行を予定されている方は、デング熱を媒介するネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等が古タイヤの溝などのわずかな水たまりで繁殖するため都市部でも多くみられることを念頭に置き、次の点に十分注意の上、感染の予防に努めてください。
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、肌の露出した部分には昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を2〜3時間おきに塗布する。
●室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。
●突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、デング熱を疑って、直ちに専門医師の診断を受ける。
●なお、蚊の繁殖を防ぐために、タイヤ、バケツ、おもちゃ、ペットの餌皿等を屋外放置しない、植木の水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
在フィジー日本国大使館 領事・警備班(担当:藤井、倉岡)
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