新型コロナウイルス対策(公衆衛生省記者会見ポイント:12日)

ベルギーにお住まいの皆様,及びたびレジ登録者の皆様へ

本日12日、公衆衛生省による記者会見が行われましたところ、主なポイントを以下のとおりご案内いたします。

(参考アドレス:ベルギー公衆衛生省による記者会見動画)

https://www.info-coronavirus.be/nl/live-pressconferences/

1.感染状況

●先週は4000人以上の新規感染者を記録。先々週から12%の増加で、1日平均では604人の新規感染者を記録(先々週は同538人)。数日前から、この上昇率が安定していることを確認。他方で、この数値の裏には重要な地域間での状況の違いがあり、これを明確にすることが重要。

アントワープ州、リンブルグ州、ルクセンブルグ州では、このカーブは下降している。アントワープ州では、感染者数が3%減少し、状況は安定している。反対に、現在感染者数が大きく増加しているのはブリュッセル首都圏であり、1週間の平均感染者数が57%増加。この増加率は1週間前に比べると若干低下したが、引き続き増加している。この増加が続けば、2週間後には現在のアントワープ州と同じ状況に到達すると我々は試算している。その他の州では、それぞれ20%〜50%の増加率と評価。主にリエージュ州及び西フランダース州が再増加しており、1週間で約400人の新規感染者が出ている。

●入院者数については、昨日は48人が新規入院、そのうち11人がアントワープ、12人がブリュッセル首都圏である。この入院者数は、5月末以来最大。3月や4月ほど劇的な状況には無いことが明らかだとしても、このことはウイルスが引き続き危険であることを想起させる。

●危機の始めの時の主要な指標は入院者数であったにもかかわらず、なぜ今は感染者数に従って状況の深刻さを評価するのか。それは、ウイルス検査能力が大幅に増強され、入院が必要な状態の感染者しか検査しなかった3月及び4月に比べ、現在はより多くの割合で感染者を把握できているからである。

また、感染者数の推移を見ることで、国民の間でのウイルス拡大状況をより正確に追うことができる。他方で、もちろん入院者数についても同様に観察を続ける。我々にとり、この数字は健康への影響を表し、現在何が起こっているかについて我々に見当を付けさせるとともに、今後数週間に何が起こりうるか評価することを可能にするからである。高い数値は必ずしも状況が現在ひどく深刻であることを意味しないが、状況がより深刻化し、感染者がより重大な割合に達することを避けるための「警報」である。死者数については、先週から1日平均約3.7人。

2.エアコン及び扇風機の使用

●特に老人ホーム及びケアセンターにおけるエアコン及び扇風機の使用について。我々の説明が悪かったかもしれないが、エアコン及び扇風機について一部正しく理解されていないと思われる。エアコンは、老人ホームにおいて部屋を冷やすために安全に使用できることを理解しなければならない。暑さに弱い高齢者がいる部屋では、これは特に重要。エアコンは良く手入れされ、常に一定の外気を取り入れることで調節されることが重要であり、ウイルスを伝播させる可能性がある内部の空気を再循環させてはならない。

外気を使用する場合は、ウイルス感染について、いかなる追加的なリスクも存在しない。扇風機も人を冷やすために使用することが可能だが、自分自身の家またはグループ内でのみ使用し、共同施設の住人については、共同スペースでは使用せず自分の部屋だけで使用することが重要。

老人ホーム及びケアセンターの入居者は、特に(その施設で)2週間の間、誰も感染者が発生していない場合は、より新鮮な空気の部屋で集まることが推奨される。ウイルスが存在する可能性のある飛沫を拡散させないため、多様な人々の間で多くの空気の流れが生じない方法でエアコン及び扇風機を使用することが極めて重要。扇風機は弱い風量に設定し、直接人に向けるのではなく、部屋の隅の壁に向けて使用して欲しい。

3.R値

●この値は感染レベルの評価に資するが、個人の行動やウイルスの特性に依存する。R値には様々なものがあり、我々がよく話題にするのは、いわゆるR0と呼ばれる「基礎R値(taux de reproduction de base)」であり、これは、いかなる防護措置も講じられておらず、免疫を獲得していない国民社会において、1人の患者が感染させる平均人数を表す。

したがって、感染流行の初期に算出し、3つの要素に依存する値である。それは、(1)感染者がどれくらいの期間、人を感染させうるか(感染期間)、(2)感染者との接触の後の感染の蓋然性(感染の可能性・容易性)、(3)人々の間の接触の頻度である。これらが高い水準になると、R0も上昇する。なお、対策措置を講じる前の感染流行初期の中国では、R0は3.21であったと評価されている。すなわち、各感染者は平均して3.21人を感染させる可能性があったということである。これがR0、感染流行初期に用いるR値である。

●次にRtと呼ばれる「実効R値(taux de reproduction effectif)」。これは、感染流行の最中に用いられ、制限措置などの講じられた対策及び国民間の集団免疫の漸進的獲得に従って変化する値である。この値は、講じられた措置による感染流行状況の進展が評価されるより前に、定期的に見直される。この値が1を下回り続けるということは、感染が徐々に消滅していくことを意味する。反対に1を上回り、値が高いほど、感染流行が続くことを意味する。当局の目的は、このRtを最大限低下させ、感染流行をコントロール、また阻止するために、1未満を維持することである。

●このRtは相互に補完的な2つの方法で計算され(入院者数又は陽性者数)、それぞれにメリットとデメリットがある。国レベルでの評価につき、国立衛生研究所は、入院者数による計算を選択している。それは、(入院者数を基にした)この方法では該当ケース数の一覧が毎日作成されるため、検査数が検査方法やその対象に大きく依存してしまう(陽性者数を基にした)もう一つの方法より信頼できると判断したためである。ベルギーのR値は、制限措置の導入により大きく低下したが、最近また1を超えた。

なお、RtはPCR検査の陽性数からも算出でき、(新規)入院者数が少ないときは有用である。この方法ではRtはよりダイナミックになり、コミュニティー内におけるウイルスの感染拡大状況がより正確に反映される。(入院者は高齢者が多くなるのに比して)年齢による分布の影響も受けない。今後、国立衛生研究所は、州毎の評価にはこの手法を用いることとし、本日より同研究所のHPに数値が発表される。

いずれの算出方法にしても、Rtは、人々の行動を単純化したパラメーターを基に複雑な数理モデルで評価されており、数値に幅がある。国立衛生研究所のRtの表では、小さい数値と大きい数値が掲載されており、この2つの数値の間(信頼区間)に95%の確率で真のRtが存在していることを意味する。信頼区間が大きいほど、算出された数値の精度が低くなる(当館注:例えばアントワープ州については、小さい数値が0.97,大きい数値が1.08とされ、その中間の1.02が国立衛生研究所の算出結果として掲載されている)。

また、感染状況が変わらずとも、R値は変化することを知る必要がある。(R値は)たとえ感染者数が少なくとも変化に敏感であり、特にクラスターにおける大規模検査などの際にそれを確認できる。R値はもはや十分な指標ではなく、他の指標と合わせて評価しなければならない。そのために、入院者数や死者数などの指標を提供している。大事なことは、R値の低下は、ウイルスへの感染可能性が低下したことを意味しないということ。措置を緩めれば、直ちにR値が上昇する可能性がある。

●入院者数に基づくベルギー全体の現在のR値は、1.27だが、その信頼区間は十分に大きい。陽性者数に基づいたR値は、リンブルグ州が0.99、西フランダース州が1.37である。

4.質疑応答

(問)前回の国家安全保障会議で取られた措置の中で、感染流行のカーブに効果が見られるものは何か。

(答)6月に主要な制限措置を解除し、接触が再開され、ウイルスは消滅したと信じていたが、そうではなく、ウイルスは常にそこにおり、(再度)措置が講じられた。(中略)これらの措置への反応は国内で様々であり、例えばアントワープでではより厳しい措置が取られ、1日あたり感染者数が減少するなど、ウイルスの拡大を抑えられ、感染のピークは越えた印象を持っている。その他の州では必ずしもそうではない。

ブリュッセルリエージュナミュールでは患者数の増加が続いているが、増加の速度は低下しており、様々な措置の効果が表れるには数週間待たなければならない。感染流行を確認するためには数週間前からの陽性者数の推移が重要な指標となる。ベルギーにおける感染のピークは8月4日であり、それ以降感染流行が減速している状況は勇気づけられるものである。

(問)(社会的)グループは、持続的に感染流行をコントロールするために中長期的に保持される概念であると考えられるか。すなわち、状況が悪化すればグループは縮小され、好転すれば拡大されるということか。

(答)1週間あたり15人のグループとすることで、陽性患者の爆発的増加が発生し、明らかに密接な接触が多すぎる状況であった。我々は極めて深刻な状況に移行し、現在は家族全体で4週間に5人である。他の措置との組み合わせで効果が見られるように思うが、これは誰も望まない、全ての社会的接触を制限する措置であり、長期間に亘りこれに耐えることは困難である。目的は密接な接触を制限することであり、なぜならそれこそが感染流行に追い風となっている要素だからである。しかしながら、全ての人が守ることができる中間点を見つけなければならない。

(問)ブリュッセルでは、10万人あたり50人の感染者の基準を超えたために、マスク着用が義務となった。この基準についての科学的根拠は何か。また、特段の脅威は何か。他の国も同様にこの基準を用いているのか。

(答)この基準は恣意的に選ばれたもので、科学的データに基づくものではないが、状況が十分に深刻であることを示す指標である。マスクは単に感染対策、感染拡大の防止、特に接触の制限のために使用される1つの手段に過ぎず、(検査による)感染者の特定とその隔離措置により補完される。マスクは、社会的グループや1.5mの距離の措置を守れない場合に使用する手法の1つであり、感染を減少させることができる。他方で、大部分の接触は家族内で行われ、家族の間ではマスクは着用されない。そのため、家族の輪の外に出る際には十分に注意し、接触を限定することで感染リスクを減少させなければならない。なぜなら、特に家族の元に戻った際に、マスクをしない家族の多くを感染させる可能性があるからである。

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ベルギー国立公衆衛生研究所では,新型コロナウイルスに関する以下の情報を公表しています(毎日正午に更新)

■感染者数

https://datastudio.google.com/embed/reporting/c14a5cfc-cab7-4812-848c-0369173148ab/page/tpRKB

■入院/退院者数

https://datastudio.google.com/embed/reporting/c14a5cfc-cab7-4812-848c-0369173148ab/page/uTSKB

■死亡者数

https://datastudio.google.com/embed/reporting/c14a5cfc-cab7-4812-848c-0369173148ab/page/QTSKB

■コミューン毎の状況

https://datastudio.google.com/embed/reporting/c14a5cfc-cab7-4812-848c-0369173148ab/page/giyUB

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