ウクライナにおける新型コロナウイルス感染症の流行状況

【ポイント】

ウクライナ全土では,新型コロナウイルスの流行は高止まり状態です。地域的には西高東低ですが,オデッサ州,ハルキウ州でも増加が見られます。

キエフ市では,依然として感染拡大が続いており,7月に入ってからは平均して毎日百人弱の感染が報告されています。

●医療状況については,一部の地域で入院施設の不足が報じられていますが,全国的には医療逼迫の状況ではありません。

ウクライナ国内での感染拡大を受けて,検疫措置が8月31日まで1か月間延長されました。また,新たに感染状況に応じて地域を緑,黄,橙,赤の4段階に色分けし,各段階に応じて異なる検疫措置が導入されます。さらに,状況に応じて新たな措置が導入される可能性もありますので,最新の検疫措置に関する情報は当館HP,ウクライナ政府や各地方公共団体の発表等でご確認ください。

新型コロナウイルス流行はまだ先が見えない状況です。引き続き感染予防策を継続してください。

【本文】

在留邦人の皆様へ

たびレジ登録者の皆様へ

ウクライナ新型コロナウイルス対策関連情報は,当館HPにも掲載しています。

 当館HP:https://www.ua.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular.html

1 ウクライナ全土では,7月28日現在,新型コロナウイルスへの感染が確認された方の総数は66,575人で,医療関係者の感染確認者は8千人を越え,これまでに1,629人の方が亡くなっており,致死率は約2.5%です。

 最近1か月間は,平均して毎日800人程度の新規感染が報告されており,高止まりの状況です。流行状況には,かなり地域差があり,感染数が多いのは,リヴィウ州,ザカルパチア州,リーウネ州,イヴァノフランキウスク州,ヴォリーネ州など西部の国境州とキエフ市,それに加えてハルキウ州,オデッサ州です。ハルキウ州からは,この数週間,毎週300人を越える新規感染確認者の報告があります。

2 ウクライナでは,新型コロナウイルスの入院治療は,政府が指定した公立の病院だけで行われます。この指定病院は,全国に約250施設あり,専用病床として2万3千床が確保されています。西部の国境州では,入院が必要となるケースが多く,特にザカルパチア州では専用病床の利用率が6割を超えており,予備(第2群)の医療施設の供用が始まりました。

 他方,重症患者の治療に用いられる人工呼吸器の保有台数は全国で2,700台ですが,現在使われている台数は200台弱でまだ余裕はあります。

(参考)ウクライナでの新型コロナウイルス感染症の診断と治療

  発熱や息切れなど新型コロナウイルス感染症を強く疑う症状がある場合は,103番に連絡すれば,PCR検査を受けることになる場合もあります(この場合は外国人も無料)。また,自己負担・有料となりますが,私立の医療機関や臨床検査センターで検査を受けることも出来ます(詳細はこちら:https://www.ua.emb-japan.go.jp/files/100067733.pdf)。この場合も検査結果から感染が疑われれば,保健当局に通報されることになっています。

 仮に症状が軽く,合併症(高血圧,動脈硬化,糖尿病,慢性閉塞性肺疾患,肥満など)が無ければ,医師の監督下での自宅療養が許されますが,入院が必要であると判断されれば,指定病院に入院することになります。指定病院は,成人・小児科・産婦人科それぞれ別の施設となり,原則として見舞いは出来ません。治療は,世界保健機関WHOの指針に準拠したウクライナの標準治療法に基づいて行われます。デキサメサゾンなど日本を含め諸外国で使用が認められた医薬品も多く使われています。

 入院費・医療費は,入院先病院に確認する必要はありますが,現金あるいはクレジットカードでの支払いが可能で,領収書も発行されることとなっています。また,疑い症状があり,103番に連絡する際は,加入済みの保険会社にも事前に連絡しておくと,事後の支払い等がスムーズになる場合もあります。

3 キエフ市の新型コロナウイルス感染症の状況

 キエフ市では,7月28日現在,感染確認総数は7,800人で,そのうち130人が亡くなっています。感染者数は右肩あがりで増えており,6月は毎日60人ほどだった報告数が7月に入ってからは毎日約100名に増えています。

 感染者を年齢別にみると30歳台が最多です。10ある行政区(ラヨン)のうち累積感染数が多いのは,ドニプロ川左岸のダルヌィツャ区,デスナ区,ドニプロ区です。感染者の大多数は症状が軽く自宅療養していますが,症状が重篤で入院が必要なケースも毎日十数人出ています。

 キエフ市内の指定病院には,専用病床が全部で9百床準備されていますが,その利用率は上がる傾向にあります(現在4割弱)。17歳以下の子供の新型コロナウイルス患者の入院数は,概ね20人程で推移しています。

4 検疫措置の期間延長

 ウクライナ国内での感染拡大を受け,7月24日,ウクライナ閣僚会議は検疫措置期間を8月31日まで延長すると発表しました。併せて検疫措置がより細分化され,地域それぞれの感染拡大リスクを,緑・黄・橙・赤の4段階に分けてそれぞれ検疫措置を定めるほか,従来は州(オブラスティ)単位で行われていた検疫措置を,より細かく郡(ラヨン)単位でも実施すると発表しています。

 このように地域の実情に応じた措置が導入されることから,滞在先の具体的な検疫措置や禁止事項については,地方公共団体の最新の情報を確認するように努めてください。

5 一人ひとりの基本的感染対策

 ウクライナでの感染拡大は続いています。日本の厚生労働省が発表した「新しい生活様式」等を参考に,感染防止の3つの基本(身体的距離の確保・マスクの着用・手洗い)などを引き続き励行し,感染対策に努めてください。

 ○感染防止の3つの基本:身体的距離の確保,マスクの着用,手洗い

  ・人との間隔は,できるだけ2m空ける。

  ・会話をする際は真正面を避ける。

  ・外出時や屋内でも会話をするとき,人との間隔が十分とれない場合は,症状がなくてもマスクを着用する。ただし,夏場は,熱中症に十分注意する。

  ・家に帰ったらまず手や顔を洗う。人混みの多い場所に行った後は,できるだけすぐに着替える,シャワーを浴びる。

  ・手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。

 また,咳エチケットを徹底するとともに,こまめに換気し,「3密」(密集,密接,密閉)の回避等にも心がけてください。

6 在ウクライナ日本国大使館は,引き続き日本人の方向けの領事業務等を実施しています。また,ウクライナに滞在中の日本人の方に対してできる限りの支援などを通じ,皆様の安全確保と必要な支援に万全を期しています。

 新型コロナウイルス感染症に罹患した疑いが生じた方,及び,緊急の用件がある方は,在ウクライナ日本国大使館まで,メールや電話でご連絡・ご相談ください。

【問い合わせ先】

ウクライナ日本国大使館領事部

電話:+38(044)490-5500

FAX:+38(044)490-5502

HP: https://www.ua.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular.html 

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