ウクライナにおける新型コロナウイルス感染症の流行状況

【ポイント】

ウクライナ新型コロナウイルスの感染報告数者は,6月に入り増加に転じました。流行状況は西高東低で,特にリヴィウ州,ザカルパチア州,チェルニウツィ州など西部の国境州で急増しています。

ウクライナ政府は,感染報告者数が増加していることを受け,検疫措置の7月31日までの延長と,検疫措置違反に対する厳しい取り締まりの実施等を発表しています。

ウクライナにおいては,検疫の緩和措置の導入後に感染報告者数は増えており,感染リスクが小さくなった訳ではありません。感染防止の3つの基本(身体的距離の確保・マスクの着用・手洗い)といった感染対策等を引き続き励行してください。

【本文】

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ウクライナ新型コロナウイルス対策関連情報は,当館HPにも掲載しています。

 当館HP:https://www.ua.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular.html

1 ウクライナにおける新型コロナウイルスの流行状況

 ウクライナで最初の感染者が報告された3月上旬以降の百日間で,流行はウクライナ全土に広がり,感染報告者数は3万9千人を超え,千人以上が亡くなっています。子供も(新生児や乳児を含めて)3千人ほどが感染しています。3月下旬から導入された検疫措置により,4月から5月にかけて1日の感染報告者数が全国集計で4〜5百人で落ち着き,5月からは検疫措置の段階的な緩和が始まりました。6月に入ってからは,感染報告者数は増加に転じ,1日で900人を超えた日もあります。特に感染報告者数が急増したのは,リヴィウ州,ザカルパチア州,リーウネ州,ヴォリーニ州,チェルニウツィ州などの西部の国境に接した州で,それにテルノーピリ州,イヴァノフランキウスク州,ジトーミル州,ヴィンニツア州,キエフ州,ハルキウ州など

が続きます。首都キエフ市では,6月に入り,平均して毎日70人ほどの感染者が報告されています。これは5月より概ね20人ほど増えています。

2 新型コロナウイルスの検査

 ウクライナではラピッド・テスト,ELISAテスト,PCR検査の3種類の検査が行われています。日本で始まった抗原検査は,ウクライナでは未導入です。

 ラピッド・テストは,糖尿病の血糖自己測定と同様に数滴の血で検査が出来,その場で結果が分かる簡易検査ですが,結果は目安と考えてください。ウクライナでは感染疑い例の一次(予備)検査に使用しています。

 ELISAテストは,採血が必要な検査で,結果が判明するのに数日要します。検査の信頼性(感度・特異度)は,検査を受けるタイミングや検査試薬により左右されます。

 PCR検査は,喉や鼻の奥を綿棒でこすりサンプルを採取します。感度が非常に高い検査のため,専門施設でクリーン・ベンチを使って分析されます。発熱や呼吸困難など新型コロナウイルスを疑う症状がある方は,救急番号103に連絡すれば,無料でPCR検査の受検が可能です。新型コロナウイルス診断の決め手となる検査ですが,3割程の見逃し(false negative)があると言われています。

 ラピッド・テスト,ELISAテスト,PCR検査とも,希望すれば私立病院や外国人向けクリニック等において有料で受検出来ます。

3 検疫について

 ウクライナ政府は,感染報告者数が増加していることを受け,現時点では検疫措置の7月31日までの延長と,検疫措置違反に対する厳しい取り締まりの実施等を発表しています。例えばキエフ市でマスク不着用違反の場合の罰金は1万7千フリヴニャです。なお,検疫措置の内容は,流行状況に応じて地方公共団体が定めていますので,滞在先の具体的な検疫措置や禁止事項については,地方公共団体の発表等を確認してください。

4 一人ひとりの基本的感染対策

 ウクライナにおいては,検疫の緩和措置の導入後に感染報告者数は増えており,感染リスクが小さくなった訳ではありません。日本の厚生労働省が発表した「新しい生活様式」等を参考に,感染防止の3つの基本(身体的距離の確保・マスクの着用・手洗い)などを引き続き励行し,感染対策に努めてください。

 ○感染防止の3つの基本:身体的距離の確保,マスクの着用,手洗い

  ・人との間隔は,できるだけ2m空ける。

  ・会話をする際は真正面を避ける。

  ・外出時や屋内でも会話をするとき,人との間隔が十分とれない場合は,症状がなくてもマスクを着用する。ただし,夏場は,熱中症に十分注意する。

  ・家に帰ったらまず手や顔を洗う。人混みの多い場所に行った後は,できるだけすぐに着替える,シャワーを浴びる。

  ・手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。

 また,咳エチケットを徹底するとともに,こまめに換気し,「3密」(密集,密接,密閉)の回避等にも心がけてください。

 なお,アルコール手指消毒液による手荒れには,就寝前に保湿剤を塗布するほか,アルコール成分がエタノールだけ(イソプロパノールを含まない)の製品が良いようです。

5 その他

 マダニの活動時期に入っています。ウクライナではライム病(キエフ市内で外国人も発症)とダニ媒介脳炎(西部〜カルパチア山脈とクリミアで多い)の感染リスクがあります。芝生・公園・草原・森林では,皮膚の露出を避ける,虫除けを使うなど予防に努めてください。

 毎年この時期は食中毒が散発しています。カンピロバクターサルモネラ菌が原因となる場合もあるため,鶏肉・卵はしっかり加熱調理してください。また,カレー,シチューなど,大量に加熱調理し,大きな器のまま室温で冷ましていると,ウェルシュ菌の食中毒も起きやすくなりますので,これらにも注意してください。

6 在ウクライナ日本国大使館は,引き続き日本人の方向けの領事業務等を実施しています。また,ウクライナに滞在中の日本人の方に対してできる限りの支援などを通じ,皆様の安全確保と必要な支援に万全を期しています。新型コロナウイルス感染症に罹患した疑いが生じた方,及び,緊急の用件がある方は,在ウクライナ日本国大使館まで,メールや電話でご連絡・ご相談ください。

【問い合わせ先】

ウクライナ日本国大使館領事部

電話:+38(044)490-5500

FAX:+38(044)490-5502

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