カタールの安全対策基礎データの更新について

今般,カタールの安全対策基礎データを更新しました。

なお在カタール日本国大使館ホームページ( https://www.qa.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html )及び,外務省海外安全ホームページhttps://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_048.html

にも掲載していますので,ご活用ください。

カタールの安全対策基礎データ

●犯罪発生状況、防犯対策

1.犯罪発生状況

 カタール当局が治安対策に力を注いでいることもあり、治安は全般的に良好と言えます。

2.一般・凶悪犯罪関係

 近年の急速な経済発展に伴い、各種ビル建設やインフラ整備等に従事する外国人労働者等が大量に流入し、外国人労働者の人口急増(カタールの人口は2004年の80万人から、2019年11月には277万人に激増し、このうちカタール国民の割合は約1〜2割とされています)により、外国人による犯罪も発生しています。

 こうした背景もあり、ドーハ市内の一部地区及び郊外において、強盗、空き巣、自動車盗等の犯罪や、大型ショッピング・モールや空港等において、スリや置き引き被害が発生しておりますが、治安当局により随時、大規模な取締りが実施され、その件数は少なく抑えられています。

3.日本人の被害例

 これまで日本人に関する犯罪被害として、空き巣やスリ、置き引き等の被害が報告されていますが、重大な犯罪の被害に遭遇したとの報告は受けていません。

4.その他

 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュスリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。

 近年では、単独犯によるテロや一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発するなど、テロの発生を予測し未然に防ぐことがますます困難となっています。

 このように、テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

●査証、出入国審査等

カタール出入国制度、各種手続や規則等に関する最新の情報については、駐日カタール大使館(電話:03-5475-0611)等にお問い合わせください。)

1.査証

(1)日本とカタールの間には査証免除の取決めがないため、カタールへの入国には査証が必要です。

(2)ただし、カタール政府は、観光、商用等の短期滞在については、日本を含む80か国の国籍保持者に対し、査証を未取得で空港から入国審査の際に、無料で30日間の滞在が許可されます。

(3)就労や家族滞在等を目的とした場合、通常はカタール身元保証人を通じて手続を行い、「就労査証」、「家族査証」等を取得する必要があります。

 なお、カタールにおいて就労し、離職時に元の保証人や身元保証企業からNo Objection Certification(NOC)を発行してもらっておらず、かつカタールを出国してから2年経過していない場合には、これを理由に入国を拒否される場合があります。

2.出入国審査

 入国審査では、査証の有無、カタール在住者であればIDカードに記載されている在留許可(Residence Permit)の有効期限等がチェックされます。

 出国に関しては、観光、商用等の目的での短期滞在の場合は、査証・滞在許可の有効期間内であれば出国できます。滞在期限を過ぎて滞在した場合は、超過滞在1日あたり200カタール・リヤルの罰金が科せられます。また、カタール滞在中に交通違反をしていながら、罰金を納付していない場合、出国審査時にその支払いを求められる場合があります。

3.外国為替

 出入国時の外貨申告は不要で、持込み・持出しの制限額はありません。米ドルやユーロ等主要な通貨の現地通貨への両替は、空港、市内の銀行、政府公認の両替商、ホテルのフロント等で可能です。

なお、日本円については、ドーハ市内の一部の両替商が取り扱っていますが、両替可能であっても多額の両替ができない場合があるので注意が必要です。

4.通関

 通関検査は厳しく、機内持込みの手荷物についても入国審査後に再度X線検査が行われます。持込み禁止品は、ポルノ雑誌類、豚肉及び豚肉の加工品(ハム、ソーセージ、ベーコン、ラード等)、酒類(みりん等を含む)などイスラムの規範に反するもの、麻薬及びその原料(けしの花等)、銃火器類等です。

●滞在時の留意事項

1.滞在時の各種届出

 観光や商用として、短期滞在査証で入国する場合には、特に届出等をする必要はありません。ただし、就労、家族滞在等の査証を取得し入国された方は、入国後30日以内に内務省入国管理局に申請し、在留許可を得る必要があります。

 また、カタール国内で在留許可取得後に出国し、再入国する場合、カタール国外の滞在期間が6か月を超えると在留許可が無効になるので注意が必要です。

 なお、就労を伴う在留許可申請者については、内務省に「警察証明(無犯罪証明)」の提出が義務づけられています。日本からカタールに就労目的で渡航する場合は、事前に居住地の都道府県警察本部で同証明書の交付を受けてください(第三国に居住されている方は、カタール内務省犯罪証明局(Department of Criminal Evidence and Information)にご照会ください(電話:+974-4447-1444))。

 こうした申請に伴う書類には、日本の外務省での公印確認にあわせて駐日カタール大使館の認証が必要とされる場合がありますので、身元保証人等を通じて確認してください。

2.写真撮影の制限等

 軍事施設、警察施設、空港、首長府その他政府関係施設の撮影は、特別の許可がない限り禁じられています。撮影禁止区域でカメラを手に持っているだけで没収され、警察に連行されることもあるので注意が必要です。また、モスク等の宗教施設や人物(特に女性、礼拝している人)を撮影することもトラブル防止の観点から避けたほうが無難です。日本人観光客が、卸売市場付近を写真撮影したところ、警察車両が写っているとして身柄を拘束された事案も発生しています。

 首長府、軍事施設、工業施設等に入るためには事前の許可が必要です。軍事施設等の立入禁止区域の標識は、アラビア語でのみ標記されていることが多く、場所によっては何の表示もされていないこともあるので、郊外をドライブする際は十分注意する必要があります。その他、首長一族関係者の居住地は一般的に広大であり、公園と間違えて立ち入った、迷い込だ、との理由で警察官等によって一時拘束され、事情聴取が行われた等の事案が発生しています。

3.飲酒等の制限

 飲酒、酒類の製造及び販売は原則として禁止されています。ただし、外国人が多く利用する一部ホテル内のレストランやバーにおいては酒類のサービスが受けられます。また、一定以上の収入のある日本人を含む外国人居住者(ただし、非イスラム教徒)については、酒類購入許可証(Liquor Permit)を取得すれば、ドーハ市郊外にある「カタールディストリビューション・センター」において酒類(及び豚肉製品)の購入が認められています。

4.各種取締り法規

(1)ポルノ雑誌やDVDの所持・販売は、当局による取締りの対象になっています。

(2)賭博はイスラム教の戒律で禁じられているため、禁止されています。

(3)公共の場での喫煙は禁止されており、特に、公共交通機関、教育施設、医療関係施設、政府関連施設、ショッピングセンター等の産業施設、映画館、レストラン等食品を販売している場所等での喫煙は罰金の対象となるので注意してください。なお、一部の飲食店では水たばこ(シーシャ)等が提供されています。

(4)麻薬や銃器の所持、持込みは厳罰が科せられます。

(5)一部ホテルのレストラン等では飲酒が認められてはいるものの、飲酒に伴う各種トラブル(飲酒運転、ケンカなど)には厳罰が科せられます。

5.交通事情

(1)車は右側通行です。信号機が設置されている交差点も増加していますが、信号機がないロータリー(英国式ラウンドアバウト)も多く、そこでは先にロータリーの内側を走っている車が優先です。

 速度制限は街中で50〜80km/h、郊外で80〜120km/hと、かなり高速に設定されています。

(2)運転マナーについては、非常に劣悪な状態であるため注意が必要です。車線を守らない、ウインカーを出さずに曲がる、無理な割込みや追越し、後方からのいわゆる「あおり」行為、制限速度を超過した速度での運転などが多く見られます。

 運転する際には制限速度を守る、交差点・ロータリーでは必ず安全確認する、飲酒運転はしない等の日本同様、基本的な交通ルールを厳守してください。

(3)交通取締は、主要道路・交差点でのレーダー自動監視装置による信号無視やスピード違反の取締り、市街地での駐車違反取締り等が行われ、違反者には日本よりも高額の反則金が課されます。

(4)万一、交通事故を起こし、負傷者がいる場合は、救急車が到着するまでの間、応急処置を行うとともに警察や救急(電話番号はともに999)に事故の発生場所、負傷者の数や負傷の程度、事故の状況等を報告し、指示を受けてください。事故を起こした車両については、警察官が現場に来る前に車両を移動してしまった場合は保険の申請に必要な事故証明が発行されなくなる可能性があります。ただし、2007年の道路法改正で、負傷者がなく車両の破損程度も軽い事故において、事故車両が交通の妨げになっている場合は、事故車両の運転手には速やかに車両を安全な場所に移動させる義務が課せられ、事故車両を移動させなかった運転手には罰金1,000カタール・リヤルが科せられることとなりました。

 警察が現場臨場しない場合は、事後必要となるので相手当事者の氏名や連絡先等、関連情報を必ず入手してください。後日、相手当事者と時間を合わせて内務省の交通局(トラフィック・デパートメント)に出向き、届け出をすることとなります。ただし、どの程度をもって軽微とするかは明確ではないので、事故発生の際は、警察に連絡することをお勧めします。

6.公共交通の利用等

(1)バス

 路線バスについては、国営ムワーサラート社の「カルワ・バス」が運行されています。運賃が低額であるということもあり、主として外国人単純労働者等が利用しています。

(2)タクシー

 タクシーは、銀色の屋根の「カルワ・タクシー」、えんじ色の屋根の「アル・ミリオン・タクシー」、青色の屋根の「アル・イジャーラ・タクシー」、灰色の屋根の「キャピタル・タクシー」、黄色の屋根の「カーズ・タクシー」の他、主要ホテルに常駐している「リムジン・タクシー」等があります。

 初乗り運賃も低額で、また会社のコントロール・センターで無線により集中管理されているので比較的安心して利用できますが、過去に料金の水増し請求事案や運転手による女性連れ去り事案等も報じられたこともあり、利用に際しては一定の注意が必要です。

 電話による配車要請は24時間受け付けていますが、時間帯によっては対応が遅くなることがあります。ドライバーは外国人で、地理に疎い場合もあり、また、カタールでは基本的に住所表示がないことから、目的地到着まで時間がかかることもあります。

 なお、カルワ・タクシー利用時におけるトラブルに際しては、同社カスタマー・サービス(+974-4458-8888)が対応することになっています。

 リムジン・タクシーは、主要ホテルに常駐しており、いつでも利用できるという便利さがある反面、運賃は50〜200カタール・リヤル程度と、タクシーと比べると高く設定されています。

 ハマド国際空港では、タクシーが指定された場所で待機しているので、違法タクシー(いわゆる白タク)の運転手が声を掛けてきても不用意に乗車しないでください。

(3)2019年12月、地下鉄(ドーハ・メトロ)3路線がほぼ全面開通しました。(  https://corp.qr.com.qa/English/Projects/Pages/DohaMetro.aspx  )

7.在留届の提出

現地に3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後遅滞なく在カタール日本国大使館に「在留届」を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、在留届電子届出システム(オンライン在留届、 http://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をお勧めしますが、当館窓口で提出することも可能です。

8.「たびレジ」

 在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)については、「たびレジ」への登録をお願いします( https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。たびレジは、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、カタールで事件や事故、自然災害などが発生した際に、在カタール日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。

●風俗、習慣、健康等

1.カタールイスラム教を国教としているので、生活する上でイスラムの教えを理解しておくことは大切です。具体的には以下のような点に注意してください。

(1)男性は女性を殊更に注視しない。

(2)女性はミニスカート等の肌の露出度の高い服装は極力控える。成人男性についても、膝下が出る半ズボンなどは避けた方が無難です。なお、一部ショッピング・モールでは、監視カメラにより不適切な服装をしている者がいないか確認している場合もあるようです。

(3)礼拝している人の前を横切らない。

(4)ラマダン(イスラム教の断食)期間中は、イスラム教信者なくても屋外や公共の場所での飲食や喫煙を控える。

2.ドーハ市内の一部公園やレストランでは、男性だけでは入場できない家族専用の曜日(※金曜日の場合が多い)を設けている所があります。

3.気候については、1年のうち4月〜10月までは高温多湿な気候が続くため、日射病、熱中症などに十分気を付ける必要があります。また、この期間は24時間冷房が不可欠で、体調管理に注意が必要です。長時間の冷房によって風邪を引いたり気管支を痛めたりすることがあるので、室内の温度・湿度管理には十分注意してください。

 3月から7月にかけては、強烈な砂嵐が発生します。この砂により気管支喘息等の症状が起こり、病院での治療が必要となる場合もありますので、ご注意ください。

4.カタールにおいては、中東呼吸器症候群(MERS)とよばれる新種のコロナウィルスによる感染例が過去報告されています。感染予防としては、手をよく洗う、十分に加熱されていない食品は摂取しない、野菜・果物は料理する前によく洗うなど、一般的な衛生対策の励行をお勧めします。また、動物との不用意な接触は避けることをお勧めします。ラクダはMERSコロナウィルスをもつ中間宿主であることが分かっており、ラクダとの接触や未殺菌のラクダ乳の摂取は危険ですので、ご注意ください。

5.「世界の医療事情」( http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html )において、カタール国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。

 その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。

 ◎感染症情報( http://www.forth.go.jp/

緊急時の連絡先

カタール警察、救急、消防:TEL 999

◎在カタール日本国大使館(代表):TEL (市外局番なし)4440-9000

               国外からは(国番号+974)4440-9000

 ※閉館中も含め当館の代表電話番号(4440-9000)は、24時間対応です。

 ※在留邦人向け安全の手引き

 現地の在外公館(日本大使館総領事館等)が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」をご参照ください。

●問い合わせ先

○外務省領事サービスセンター

  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1

  電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902、2093

(外務省関係課室連絡先)

 ○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5139

 ○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047

 ○領事局政策課(感染症関連)(内線)4475

 ○外務省海外安全ホームページ

  http://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)

  http://www.anzen.mofa.go.jp/m/btop.html (モバイル版)

 ○在カタール日本国大使館

   住所:Al Shabab Street、 New Diplomatic Area、 Onaiza、 Doha、 Qatar

   電話:(市外局番なし)4440-9000

      国外からは(国番号974)4440-9000

   FAX :(市外局番なし)4029-3655

      国外からは(国番号974)4029-3655

   ホームページ:http://www.qa.emb-japan.go.jp/jp/index.html