台湾安全情報(2019年1月〜6月)

 2019年1月から6月に関する統計データ(暫定値)及び同年4月から6月に発生した事案を基に作成した、台湾の安全情報を以下のとおりお知らせします。

1 社会・治安情勢

 一部の団体等による抗議活動が散発的に行われているほか、5月には日本台湾交流協会台北事務所前で尖閣諸島歴史認識等をめぐって数十名規模の抗議活動が発生していますが、一般市民全般の対日感情が悪化しているとは言えません。

 また、台湾の治安が大きく悪化したという状況は認められず、治安情勢は比較的安定していると言えます。

2 犯罪の傾向

(1)主な犯罪の発生件数

 内政部警政署の発表によると、2019年1月から6月までの間の刑法犯の発生件数は13万2,489件と、前年同期(2018年1月から6月までの間)と比較して6.8%減少しています。統計上は前年より治安の改善が見られますが、皆様にあっては油断することなく、台湾が海外であることを忘れずに防犯意識を高めていただければと思います。

 また、主な犯罪の発生件数は以下のとおりですが、いずれの犯罪類型も前年同期より減少しています。

  刑法犯総数  13万2,489件(前年比 6.8%減)

   うち殺人       143件(同 上14.9%減)

   うち強盗        88件(同 上17.8%減)

   うち強制性交      97件(同 上16.4%減)

   うち窃盗   2万1,026件(同 上11.1%減)

   うち詐欺   1万  973件(同 上 8.0%減)

(2)邦人被害の事案

  ア 窃盗

 2019年4月から6月の間に邦人がスリの被害に遭ったと確認できる事案は報告されていません。しかし、7月上旬に在留邦人がスリの被害に遭う事案が発生しており、皆様に今回共有させていただきます。この方によると、地下鉄中山駅付近の交差点において、ある男がこの邦人にぶつかってきたのでその男に文句を言っている隙に、別の者が同邦人の背中にかけていたショルダーバッグから財布を盗んだというものです。その後、現金のみが抜かれた財布が発見されましたが、邦人はATMで大金を下ろした後に被害に遭っていることから、犯人は、邦人がATMを利用してお金を下ろしたことを確認した上で、役割分担の下に組織的にスリを行った可能性があります。

 平素より、邦人がよく訪れる國立故宮博物院、忠烈祠、中正紀念堂龍山寺永康街台北101ビル、士林夜市、饒河夜市、九フン(「にんべん」に「分」)、鼎泰豐の店舗周辺等の観光地においてスリの被害には留意していただいていますが、上記のような手口も確認されていることから、人混みの中で他人が突然ぶつかってきたり、体を不自然に押されたり触られたりしたときは、すぐに所持品を確認するようにしてください。

  イ 旅券の紛失

 盗難又は遺失の判断がつかないものの、邦人旅行者が旅券を紛失する事案が後を絶ちません。日本台湾交流協会が把握している旅券の紛失事例を見ると、以下のような特徴が挙げられます。

  ○ 九フンや夜市等の大勢の観光客で混み合う観光地において旅券を紛失する。

  ○ 乗車したタクシー内に旅券が入ったバッグを置き忘れる。

  ○ 空港での両替時に本人確認のために旅券を提示し、そのまま置き忘れる。

  ○ 泥酔するまで酒を飲んだ後に路上で寝込み、旅券入りのバッグを紛失する。

  ○ ナイトクラブに入場する前に旅券を提示し、店内で酔っ払って紛失する

 上記に見られるように、旅券の紛失は所持者本人の不注意によるものが大半を占めます。旅券を紛失した場合、台湾当局への届出に加え、どうしても急ぎ帰国の必要がある場合には、渡航書等の申請が必要となります。そのためには、戸籍謄本等の入手が必要となるなど、申請手続には多くの時間と労力を要します。また、日本の旅券は国際的な信用度が高く、紛失した旅券は偽変造され、不法な出入国等の犯罪や国際テロを助長するおそれがあります。皆様の知人、会社の出張者等が台湾を訪れた際には、上記の事例を参照しつつ、滞在中の旅券の管理に細心の注意を払うよう注意を促してください。

3 交通事故の傾向

(1)主な統計

 内政部警政署の発表によると、2019年1月から6月までの間の交通事故の発生件数は15万5,503件と、前年同期と比較して0.5%減少しています。また、交通事故の発生件数が前年同期とあまり変わらないにもかかわらず、死亡者数が約1.4倍に増加しており、前年より交通情勢の悪化が見られます。皆様にあっては、日本と台湾の交通事情や習慣の違いを意識するとともに、道路横断時等には周囲の自動車やバイクの走行状況に十分に留意してください。

 なお、交通事故に関する主な統計は、以下のとおりです。

  発生件数 15万5,503件(前年比 0.5%減)

  死者数       939人(同 上36.5%増)

  負傷者数 20万6,501人(同 上 1.0%減)

(2)邦人被害の事案

 4月、邦人が夜間帯に新北市内でバイクを運転している際に山から転落し、病院に搬送された後に亡くなったという事案を把握しています。また、5月には、邦人が昼間帯に九フンから台北に向かってレンタカーを運転している際に道路脇の障害物に誤ってぶつかり、車が横転したという事故を把握しています。後者の事故は幸いにも怪我人はいませんでしたが、道路の幅が狭く十分に整備されていない山間部で車両を運転する際には、天候、道路状況、交通標識等に十分に留意するようにしてください。

(3)飲酒運転の厳罰化

 台湾においても、飲酒運転は厳しく取締りを受けます。最近、法令改正によって飲酒運転に対する厳罰化が図られていることから、以下を参考にしつつ、飲酒運転は絶対にしないように心掛けてください。

  ア 行政罰

 台湾では、呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0.15ミリグラム以上又は血中アルコール濃度が0.03パーセント以上の状態で自動車を運転してはならないと定められています。運転手に対する飲酒検査の結果、上記アルコール濃度を超えていた場合には、車の運転手には3万元以上12万元以下の罰金、バイクの運転手には1万5千元以上9万元以下の罰金が課せられます。また、5年以内に2回目の同様の違反があった場合には、車両区分の罰金の最高額(車:12万元、バイク:9万元)が課されるとともに、3回目以降の同様の違反があった場合には、更なる罰金が課せられることになります。

  イ 刑事罰

 呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0.25ミリグラム以上又は血中アルコール濃度が0.05パーセント以上の状態で車やバイクを運転していた場合には、刑法の公共危険罪が成立し、2年以下の懲役に処せられるおそれがあります。また、上記の飲酒状態で運転し、人を死なせた場合には3年以上10年以下の懲役、重傷を負わせた場合には1年以上7年以下の懲役に処せられるおそれがあります。さらに、5年以内に同様の罪の確定判決又は執行猶予判決を受けた者が飲酒運転をし、人を再度死なせた場合には無期懲役又は5年以上の懲役、重傷を再度負わせた場合には3年以上10年以下の懲役に処せられるおそれがあります。   

4 テロ・爆弾事件の発生状況

 報告されていません。

5 邦人に関する誘拐・脅迫事件の発生状況

 報告されていません。

 

6 日本企業の安全に関する諸問題

 報告されていません。

7 海外旅行保険への加入の勧め

 最近、台湾を訪れた邦人(特に高齢者)が滞在中に体調を崩して病院に入院し、高額な医療費等(例えば、手術を伴う1か月程度の入院で約500万円)を支払うなどの事案が多く発生しています。このような場合、海外旅行保険に加入していれば、病気の際の医療費、移送費等が補償されるほか、保険会社や契約内容によっては、家族の渡航費や台湾において日本語通訳の手配サービスを受けることも可能となります。皆様の知人、会社の出張者等が台湾を訪れる際には、犯罪被害、交通事故、突然の体調不良等に備え、可能な限り充実した海外旅行保険に加入するように勧めてください。

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 日本台湾交流協会台北事務所 領事室

  台北市松山區慶城街28號 通泰商業大樓

  TEL (02)2713−8000

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  Email ryoji-k1@tp.koryu.or.jp

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