医療情報(パキスタンで気をつけたい病気への予防策)

【ポイント】

熱中症、食中毒、風邪、けがを中心に、知っておくと得する医療知識&対応策を以下でご案内しておりますので、是非ご一読ください。

【本文】

1 熱中症:子供の熱中症予防は大人が管理を!

(医療知識)

熱中症は体の中に熱がこもってしまい、体が対処できなくなる病気。

・暑い環境下であれば、屋内でも発症する。乳幼児や高齢者は特に注意。

・軽症(めまいや手足のしびれ)から始まり、中等症(発熱や頭痛、嘔吐)、重症(40度以上の高体温やけいれん、意識障害)へと、徐々に悪化するため、早めの対応が重要。

(予防策)

・子供を屋外で遊ばせる際は、口渇がなくても30分毎に水分補給をさせる(大人が管理)。

・冷凍タオルで直接冷やしてあげる。

・霧吹きスプレーなどで水を拭きかけ、気化熱を利用し冷却する。

・家の中では冷房も上手に活用する。夜間つけっぱなしも一案。

(対応策)

・これ以上、熱を吸収しないように、涼しい場所に移動させる。

・首やわきの下、太ももの付け根を走る太い血管部分を、保冷剤で冷やす。

・濡れタオルや肌に水をかけて、厚紙などであおぎ、気化熱を利用して冷却する。

・外から吸収したこもり熱は、解熱鎮痛剤では下がらない。頭痛止めの効果はあり。

・水分摂取は、体内に吸収されやすい、ORSがお勧め。

・水分補給ができない、40度近い発熱が持続、ぐったりしているまたはけいれんがある場合は、すみやかに医療機関を受診する。

2 食中毒:予防三原則は「付けない,増やさない,殺菌」。

(医療知識)

・食中毒の原因はいろいろ。

 -ウイルス:嘔吐、腹痛、水様便が特徴。発熱は1-2日で改善。

 -細菌:腹痛、血便が特徴。吐き気はあっても嘔吐は少ない。高熱が持続。

 -寄生虫:症状はウイルス性腸炎に似ている。ウイルス性として対応するも、5日以上たってもよくならない場合に疑う。

(予防策)

(付けない)

・調理前および調理中はこまめに手洗いをする。

・まな板は食材を変える度に洗う。特に鶏肉は要注意。

・生野菜や果物を直接食べる際は,フィルターを通した水やミネラルウォーターなどで洗う。

(増やさない)

・時間がたつ程ばい菌は増えるので,自然解凍やつくり置きは避ける。

・長期帰国前は,不在中停電している可能性もあるため,冷蔵庫は空にする。帰国後に食べない。

(殺菌)

・加熱できるものは,食べる直前に加熱し殺菌を行う(75℃で1分以上)。

(その他)

・外食の際や,子供のおやつの時間にも,手洗いは忘れずに。

・外食の際,食器類はティッシュペーパーなどで拭いてから使用する。

・口に含んで嫌な味がした場合は、そのまま飲んだり、食べたりしない。

・当地の油(使い回し)や香辛料でお腹を壊すこともあり。この際、胃液が薄まることで、消化不良(腹痛)を誘発する可能性もあるため水分摂取はほどほどに。

(対応策)

・下痢になったら、お腹を休めて,病原体を出し切る。自己判断で抗菌薬や下痢止めは使わない。

・整腸剤(市販薬で可、当地ではECOTEC)を3-5日間内服し、腸内細菌を整える。

・水分摂取は水やお茶より塩分・糖分を含んだ経口補水液(ORS)で。薬局でOEMやPeditralが入手可。緊急時対応として炭酸飲料水やジュースでも代用可。

・水分摂取のみで過ごす場合、子供は1-1.5L/日、大人は2L/日を目安に。

・食事は便の性状に合わせて。水様便では水分摂取のみ(ORS以外に味噌汁の上澄みやジュースでも可)、消化不良便ではお粥など。果物は、繊維の少ないものを推奨(リンゴ、スイカ、イチゴなど)。普通の食事は普通便になってから。

・現地の病気は現地の民間療法で治すのも一案。当地では「ISPAGHOL」が便通異常時の万能薬として利用されている。ジュースやヨーグルトと混ぜるのがオススメ。

・3日以上経っても高熱が持続する場合や、5日以上経っても下痢が持続する場合は、細菌または寄生虫に対する治療が必要なため医療機関への受診を考慮する。

A型肝炎や腸チフスは飲食物を介してかかる感染症。予防接種歴も再確認を。

3 風邪: 風邪と思ったらデング熱のことも!

(医療知識)

・通称「風邪」とは、何らかのウイルスが原因で起こる急性上気道炎のこと。抗菌薬では治らない。

・鼻水、咽頭痛、痰の絡む咳、発熱、頭痛、声の変化などの症状を呈する。

・風邪の診断は難しく、重症疾患(重症デング熱など)が隠れていることも。

(予防策)

・外出先から帰ったらうがい&手洗いを習慣づけること。マスクを過信しない。

・のどを乾燥させないように,朝目覚めた直後や,日中もこまめに水分摂取を。

・風邪によく似た別の病気にかからないように,防蚊対策も忘れずに。虫除けスプレーやローションの使用や,殺虫剤(蚊取りベープマットや蚊取り線香など)も効果的に利用しよう。

(対応策)

・風邪(ウイルス)に対する根本的な治療は安静(自己免疫力の回復)であり、症状を和らげる目的で薬を用いる。

・風邪の引き始めには葛根湯や市販の総合感冒薬(ルル、パブロン等)を服薬する。症状が3日以上続く場合は、他疾患との鑑別並びに治療が必要となるため、医療機関へ受診を。

・風邪かなと思ったら、当地の国民的ハーブティー“Johar Joshanda”もお勧め(TIME紙 Best of Asia 2008 に選出)。味はChocolate, Pure Honey and Sugar Freeから選べる。

4 けが:大理石の床と動物には要注意!

(予防策)

・当地の床は大理石のため、ベッドや階段からおちて大けがに至ったケースあり。小さなお子さんをお持ちの方やお酒が好きな方は要注意。

・動物には安易に接触しないこと。

(対応策)

・すり傷は水道水(流水)で、土など汚れがなくなるまで傷口をきれいに洗う。消毒薬でなくてもよい。

・切り傷は、タオルなどで圧迫止血を行い(約5〜10分)、止血後絆創膏を貼る。多量の出血は圧迫しながら、ただちに医療機関へ。

・鼻血の場合は、少し前屈みの姿勢で座り、親指と人差し指で鼻をつまむ(約10分)。鼻のつけねを冷やすのも効果的。

・動物に咬まれた場合は、必ず医療機関を受診。狂犬病に対する予防接種や皮膚感染に対する抗菌薬の処方を要する。

破傷風の予防接種歴も再確認しておく(10年毎の追加接種が必要)。

・当地の救急車の利用は推奨しない。自動的に公立病院へ運ばれてしまう。緊急時であれ、医療機関受診の際は、自分または周囲の人が配車すること。

5 子供の病気:予防接種の悩みも解決!

・長野県佐久市発,究極の子育てサイト「教えて!ドクター」をご覧あれ。

医療機関については、以下をご参照下さい。

・外務省 海外安全ホームページ パキスタンの医療事情

https://www.anzen.mofa.go.jp/medi/pakistan_medi.html