感染症広域情報:サル痘(モンキー・ポックス)の発生(イギリス・イスラエルでのナイジェリアからのサル痘輸入例の発生)

●9月にナイジェリアから英国に入国した2名のサル痘(Monkey Pox)患者発生が確認されました(※1名は英国非居住者のナイジェリア人兵士で,もう1名は英国在住者(国籍不明))。

また,10月にはナイジェリアからイスラエルへ帰国したイスラエル人1名がサル痘感染と診断されました。

●これらの状況を受け,米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention. 疾病予防管理センター)がナイジェリアに対し「レベル2」渡航情報(渡航注意:3段階の中間に位置)を発出しています。

●2017年9月頃よりナイジェリアでは南部州を中心にサル痘(Monkey Pox)が流行しており,2018年に入ってからも週に1名から5名の患者発生が続いています。

●サル痘(Monkey Pox)は,サルをはじめネズミ・リス類などとの直接接触,咬傷,生肉からの感染と,感染者からの飛沫感染(※風邪の感染と同様)により罹患します。予防法は,「動物との接触を避ける」,「生肉は食べない」,「発熱者に安易に近づかない(とくに現地の病院)」,「手洗い・うがいの励行」などです。

1 サル痘の発生状況

 2017年9-10月にナイジェリアではサル痘の大きな流行がありました。2017年中には疑い例含め患者数119名,うち死亡者7名が報告されています。2018年に入ってからも少数の患者発生が続いており,総計で37名が報告されています。

本年9月には英国において初めて,ナイジェリアからのサル痘の輸入例2例が確認されました。続く10月にはイスラエルにおいてナイジェリアからのサル痘輸入例が確認されました。いずれもナイジェリア南部州で齧歯類(ネズミ・リスの仲間)と接触した可能性があると報道されています。これらの事例を受け米国CDCはナイジェリアへのレベル2の渡航情報(渡航注意:3段階の中間に位置)を発出しています。

 現在ナイジェリア国内でサル痘発生が急激に増加しているとの情報には接しておりませんが,Akwa-Ibom, Bayelsa, Cross River, Delta, Ekiti, Enugu, Imoなど南部州を中心に発生が続いているほか,ラゴスやFCT(※アブジャを含む連邦首都地区)でも患者発生が見られるので,感染予防に対する注意が引き続き必要です。

2 サル痘について

(1)感染経路ほか

 (ア)「サル痘」との名称にも拘わらず,サルからヒトへの感染は今日までに確認されていません。かつてサルの病気として研究され,カニクイザルなどが感染していたことからこの名がついた経緯があります。ヒトへの感染は,齧歯類(ネズミ・リスの仲間)の一種による咬傷・接触によって起こりますが,その他、感染したヒトからヒトへの飛沫感染接触感染も起こすことが併せて確認されています。

 (イ)ヒトへの感染は,1970年にコンゴ民主共和国(注:当時の国名はザイール)で初めて確認されました。それ以降,アフリカ中央部から西部にかけて散発的に流行が起き,これまでに延べ400例ほどが報告されています。ただ,ナイジェリアでは,これまで発生は確認されておらず,今回が初の発生例となります。

 (ウ)2003年には米国で流行し,患者71名が発生しました。この時は,輸入された Gambian Pouched Rat から広まったとされています。

(2)症状

 (ア)潜伏期間は7日から21日の間です。発疹・発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛・リンパ節腫脹などが現れ,発疹は痘そうと同様に次第に盛り上がり,水疱から膿疱となって痂皮で覆われてきます。

 (イ)死亡率は1−10%とされています。但し,米国で流行した際(2003年)には死亡者は出ませんでした。

(3)治療

  確立された治療法は今のところなく,対症療法を行います。ただ,天然痘と同種のウイルスであり,種痘は効果があるとされています。

(4)予防

  「動物との接触を避ける」「発熱者には安易に接触しない」ことが挙げられます。

3 その他のお願い

 海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。

 3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet

 3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)。

(問い合わせ窓口)

○外務省領事サービスセンター

  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903

(外務省関係課室連絡先)

○外務省領事局政策課(海外医療情報)

  電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367

○外務省海外安全ホームページ

  http://www.anzen.mofa.go.jp/(PC版)

  http://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.htmlスマートフォン版)

  http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(モバイル版)

世界の医療事情:

http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/africa/nigeria.html

(現地在外公館連絡先)

◯在ナイジェリア日本国大使館(領事班/警備班)

電話:090-6000-9019 または 090-6000-9099

※国外からは(国番号234)90-6000-9019 または 90-6000-9099

夜間・閉館日における緊急連絡用電話:080-3629-0293

※国外からは(国番号234)80-3629-0293

ホームページ: http://www.ng.emb-japan.go.jp/j/

電子メール : visanigeria@la.mofa.go.jp